パパーノなんなんでしょう

No.42
2004/ 5/23

Every picture has its shadows
And it has some source of light
(Joni Mitchell, "Shadows and Light")

今回のなんなんでしょうは、
Engineers Create Butt-Kicking Machine
です。


のってるかい

(1)ゴールデンウイークも

あけてしまい、5月病にかかっている人もいることでしょう。 期待をこめて始まった4月から早一ヶ月すぎてみれば、 思い描いていた自分の姿とは全然違う毎日になっていたり、 なんだ、結局、先期までと、やっていることは一緒じゃないか、と 気がついて落ち込んだり、いろいろなケースがあるとは思います。
そうはいっても、他社では、どうなんでしょう、私のいる会社では、 今年度の昇格候補の選抜試験があるのです。エントリーされた人は 5月病だなんて言ってられません。
私もエントリーされてしまったために、この一週間は、そのための準備で大変でした。 若手に研修ごときで仕事を止めるな、と言っている手前、自分の仕事は止められないし、 どうも、最近ビールが美味しいし、ホームページの更新もしないといけないし、 たしかに、「ハムのひとりごと」を本番前日の夜に更新するとは、度胸満点の 余裕のよっちゃんだと思うかもしれませんが、結構壮絶でした。

先週の金曜日の晩のことです。
「日曜日、おれ、会社行くから。プレゼンの資料と練習をしないとエラいことになるし。」
「何時に出るの?」
「6時。あるいは、できるだけ早く。」
当日になって。
「あれ、まだ、会社行かないの?もう、10時すぎよ。 どうせ行くなら早く行って早く帰ってきてよ。」
「雨ふっているしなぁ。家でやるよ、考えてみりゃ、家で 全部できるはずだしなぁ」
確かに家でもできるんですけどね。意志さえ強ければ...ね。
自分との戦いはこのように常に壮絶ですが、100戦100敗だというところ がツライところです。

(2)だいたい

連休中にしっかりとスライドが完成していて、上司のチェックを 受けて、一分の隙もなくみっちりとスライド一枚一枚を 作り上げ、発表練習を何べんも繰り返して、最後の一週間で面談の練習をみっちりと するというのが通常です。
「君の開発している製品のコストのうち、材料費はいくらかかっているのかね?」
「量産に入らないとわかりません。今の試算は絵に描いた餅でしかありません。」
「この開発品で他社に本当に勝てるのか?そのロジックはどこにある?」
「そんなことで悩んで判断を遅らせるより、思い切って 量産に踏み切ったほうが勝ちです。」
「今のまま量産したってコストが合わないじゃないか。」
「最初、儲からなくたって、儲かるまでがんばれば最後はわが社が勝ちます。」
「そんな開発やめにしてしまえ」
「みんな不安を持ちながら開発しているんです。でも、 これまで誰も止められなかったじゃないですか。」
「なにぃ、失敗したら誰が責任をとってくれるんだ?君か?え?」
「そんなもん、部長、あなたに決まっているじゃないですか。」
なんちゃって。

(3)せっかく

本社の経営数値とか、今年度の計画とか、経営方針とか、 関係事業部の利益率等を暗記したのに、 まったく知識は問われませんでした。
ま、どうせ訊いても、一夜漬けの記憶力を試すようなものだ、 と面談する側もわかっているからでしょう(注1)。
また、補足のスライドを30枚くらい用意したのに、これも、 ほとんど使うことはありませんでした。だいたい、プレゼンの内容 をもとに質問が出るし、答えるのに 精一杯で余裕がないのです。
これまでの経験で、関連資料の ファイル数冊を持って行っても、補足資料のスライドを作っても、 アニメーションのデモを用意しても、ほとんど、利用することがない ことはわかっているので、最近はプレゼン資料のみしか持参しないことが 多かったのですが、やっぱり予想通りの展開でした。
好きな言葉はなんですか」とか、
「そのヒゲはなんで 生やしているの?」とか、
「おととし、開発中の新製品で売り上げに30億円貢献する、と 言ってたけど、どうなった?ん?」とか、
「あのとき、君がコミットして投資した 1億円ほどのあの設備、まったく成果に結びついてないんだよね、 センターのクリンルームで止まっているんだけど、 どうするつもりだね?」
などの質問をされ、しどろもどろして答えるはめになって、 厳しく叱責され青くなって退室しました、なんてこと は、ありませんでした。(注2)

(4)ところで

ただでさえ5月病でなかなかやる気の出ないうえに、 さらにひどい風邪をひいたりして、体調が悪くて、 ますます落ち込んでしまっている人もいることでしょう。 それでも、今の仕事に愛着がある人はまだ、そこを拠り所に がんばれると思うのですが、たまたま、それも持てない仕事を している人は、まったくもって辛いですよね。
それを解決するのが、今回、とりあげた、 Butt-Kicking Machine です。要するところ、自分にカツをいれるために 尻をけっとばすことのできる椅子です。リンク先の"Slideshow"をクリックすると、様子 がよくわかります。トータルのコスト$250のうち、 靴が$40ということで、これじゃ、ちょっと儲かりそうもありませんが、 この椅子でみんながやる気がでて新製品がバンバン出ればすごい波及効果です。 全事業場に展開すればまさに、コーポレイトな開発品ともいえましょう。
記事によれば、実際、社員のやる気を出させるために開発されたということですが、 抵触する特許がないかどうか調べることまでしているということで、 そこまでやる気のある社員がいるなら、こんな製品はいらないような気もします。

(5)最近、

また、新型ウイルスが出回ったりして、きっと、企業でシステム管理をしている人、 あるいは、職場で皆のパソコンの管理をするはめになってしまった人(ボランティア が多いのです)、大変でしょうね。Windows Updateやウイルスソフトの パタンファイルの更新はきちんとしましょう。
この間後輩社員で、パソコンマニアのF君が、私に質問をしました。
「パパーノさん、ウイルスを作っている人って、普段の仕事、何している んでしょうね?」
「そうだな、ゴミ収集トラックの運転とか、駅の掃除とか、そんな 午前中か午後一杯かどちらかで済む仕事で(注3)、 給料は少ないけど、なんとか食っていける程度に働いているんだって。 それで、一日のほとんどをパソコンに向かってせっせとウインドウズのセキュリティー ホールをさがしてウイルスを作っているわけだ。」
「へぇー、そうなんですか。」
「おい、おい、信じるな、口からでまかせだ。」
「だって、いかにも見てきたように言うんだから、まったく...」
普段からこのような会話に心がけ、思わぬ質問がきても、 黙り込んだりしないように、即座にもっともらしく ペラペラとしゃべれるように、 日ごろから訓練しておきましょう。


最近、 日本人で初めてオーストリア料理の マイスター試験に合格した人が現れたのですが、ご存知ですか?
実技では5皿のコース10人分の料理を 5時間で作ってみせたそうです。調理の優雅さまで評価されるということです。 6日間の孤独な試験、と書いてありました。 なんといっても、実務経験7年以上必要で生涯一度しか受験できない、というのですから おそろしい試験です。「緊張で何度も倒れそうになった」。
なんでも、 口頭試問はすべてドイツ語なんだって。
ところで、今回のパパーノなんなんでしょうは、まったく、雑多な研修ネタで終わってしまい、 いったい何が言いたいんだ、という状態ですが、

極度の緊張の後遺症

です。いや、ほんと、脳の一部がおかしくなってます。
復帰にもう少し時間がかかるかも。


4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ
(c)Shimamura,T
トップページ  パパーノ Index  メール  hardy@max.hi-ho.ne.jp

注1)念のため

若手の技術者に注意。
そうはいっても、必ず昇格候補試験のときは記憶しましょう。
この手の質問は1回は、なんらかの形で訊かれます。 そのときに答えられないと、常識がない、ということになります。
努力しても答えられない質問はどうしようもないのですが、 少しの努力で必ず答えられる質問に対しては、準備しておくべきです。

注2)実際にはこんな感じです。

「つまり、この分野の製品については、あれやこれや ぜーんぶ含めて、今後の開発は、 君がリーダーとして、君が全部考えて、君が責任を持って 進めてくれるんだね?」
はい、と答えたらどんな質問が次に来るか、 いいえ、と答えたらどんな質問が次に来るか、 それに対してどう答えるか、頭が256倍速で高速回転した後に、
「はい」
この間合をどう、評価されているかが微妙です。 あんまり、スパっと「はい」と言い過ぎると、調子よすぎ、 空きすぎれば、自信が足りない。どちらかというと、 後者のほうで失点ぎみだったかもしれません。

注3)約1名のかたから

ここの一文に、偏見が感じられる、と指摘を受けました。 私としてはそんなつもりではなかったのですが、たしかに そう受け取られかねず、それでは本意ではないので少々修正しました。 ちなみに原文は次のとおりです。

「ゴミ収集トラックの運転とか、駅の掃除とか、そんな仕事で、 大体、午前中か午後だけで済ませて、」
(2004/5/23 14:30)