パパーノなんなんでしょう

No.45
2004/ 6/27

What do you think they have hidden away
in the cabinet cold of their hearts?
(Paul Simon, "Rene And Georgette Magritte With Their Dog After War")

今回のなんなんでしょうは、
Engrish.com
です。


まだまだアマチュアマネジメント

(1)今週の最初は

台風が通過して、それから、いろんなことがありすぎて、あっという間に1週間が過ぎました。 水曜日の夜遅く、ある部署との打ち合わせで予想外の成り行きになり、 どうにも腹の立つことがあって、 思わずプロジェクトのメンバーの若手社員N君にグチっていたら、 2月に転勤になった元同僚がひょっこり現れ、「さぁ、帰りましょう」
「でも、まだ 9時だし早すぎるぜ、することあるんだけどな。」
「まぁ、いいじゃないですか。飲みにいきましょう、飲みに」
「そーだなぁ、この時間じゃ、今日したって、明日したって、かわらねぇもんな。 確かに一杯飲みたい気分だぜ。今日はもう店じまいして行こうか。」
「そうそう、どうせ、家でもできるでしょう。家でやれることは家でする。」
「よし。飲みに行こうか。N君、君もどうだい?」
「やめときます。」
・・・・そんなに即座に答えなくてもいいじゃないか。でも、確かに、先輩社員のグチの言い合い、 どうせ始まってしまう人物批評、付き合うのはイヤでしょうね。
「いや、今日は絶対に、グチなし批判なしネタみもなければ自慢もなしでいくぞ、絶対確実大丈夫インディアンウソツカナイ。」
「やめときます。」
結局、元同僚と2人で1時間ほど生ビールと少しの焼き鳥で、グチと批判のオンパレードになり、 確かに、N君の判断力が高いことが判明しました。

(2)私がドイツ出張へ

行った話しは、このコラムでしつこく書いたので、あきあきしているみなさんも多いことと思いますが、 今度は、この6月の24,25日と相手先のドクターW氏がこちらへ来ました。
そういえば、前の週に、スケジュールを打ち合わせるメールをやりとりしました。 私の英語もたしかにかなり怪しいのですが、先方の英語も結構間違いや、 ヘンなところも多く、 ある意味、慣れると、英語のメールもそれほど苦痛ではありません。
しまった、スペルチェックかけるのを忘れて出したー、と思っていたら、先方からの リプライにスペルミスを見つけたりして、おあいこだ、と妙なところで安心しています。
どうしてもわからない一文があったので、英語の達人、F君に見てもらったところ、 彼も最初はわからなかったのですが、しばらく繰り返し見ているうちに、 「あー、なるほど、だいたいわかりました。」
「ほんと?」
「ほら、ここ、コンマを入れれば、これこれこんな意味でスジが通るでしょう?」
「な〜るほど」
「それにしても...。いつも、こんなやり取りをしているんですか?」
「うん。」
「なんか、暗号のやりとりみたいですねぇ。」
「・・・・・。」

(3)初日は

ホテルまで私が迎えに行ったのですが、会社まで、なんとか雑談をしながら 行くことができました。うまく雑談するのが、結構難しいのですが、 台風と梅雨のおかげで天気の話だけでも、話題が少々あったので、 助かりました。
日本列島って、単語知ってますか?予習しといたんですよ。 "Japan archipelago"っていうのです。archipelago, archipelago,行きの電車の中で何度も忘れては覚えなおし、いざ、
"This week we had a big typhoon running through Japan archipelago"
でも、ドクターもarchipelagoは知りませんでした。islandsと、言い換えたら通じました。 せっかく 憶えたのに。これは予想外でした。
関西の気温、ヒートアイランド、J-Walk、コンビニ、等々、うんちくがこういう時には 大いに役に立ちます。
昼は社員食堂に連れて行きました。
"Here are menus. Let me describe...(省略)"
menuは辞書を引くと、日本語の「メニュー」と同じ意味で「献立表」と 書いてありますが、ヨーロッパでは特に「定食」の意味になります。もともと フランス語です。メヌと発音します(多分)が、「定食」の意味なのです。
でも、そこには定食の見本が並んでいるのでちょうど間違いではありません。
コロッケはジャガイモのダンプリングにパン粉つけてフライにしたもの、 牛肉のカツの定食は「ヴィナー・シュニッチェルのようなものだ」と説明し、カツ重は、 「ヴィナー・シュニッチェルに似ているが、肉がポークで、ゴハンの上にのせてあって、 卵がかけてある」と少々、怪しい英語で説明しました。まぁ、それにしても、見ればわかる 部分をたどたどしく説明するのは、全然スマートじゃないですよね。反省。
ドクターはカツ重を選択しました。

(4)私も

カツ重にしました。スプーンをついでにとってあげたのですが、 やはり、器に直接口をつけてミソ汁をすするのは抵抗があるらしく、 スプーンですくってミソ汁を食べてます。ミソ汁を全部食べてから、カツ重にかかります。
先にスープを食べてから、次にメインディッシュ、というスタイルなのですね。
実は、最初に、どういう順序で食べるのか訊かれたのですが、「ミソ汁から始めて、 ゴハン、おかず、付け合せ、ゴハン、ミソ汁、といった具合に、少しづつ いろんなものをまんべんなく食べるのが正統な日本式だ。私も子供のころによく親から怒られたものだ」 などと、少し複雑なことを言うことができませんでした。
"We usually have miso-soup first."
とだけ言ったのですが、間違ってはいないよね。相手の価値観も否定していないし。
箸は使えるということで、それなりに苦労しながらも上手に使って食べています。
ところが、私も食べ始めてから気がついたのですが、カツ重を箸で上手に食べるのは、至難のワザです。
これは予想外でした。
普通、深い丼にもってあって、丼に口つけてかき込むのがジャパニーズトラディショナルスタイル ではないですか。四角くて浅いお重に盛り付けられているので、そうはいきませんよね。 それでなくても、おわんに口をつけられない人を前にして。
出汁でほぐれて滑るゴハンを箸ですくって上品に食べるのは困難きわまります。
新たにフォークを確保して、結局、私もドクターと一緒にフォークで食べるはめになりました。
カツ重をフォークで...。まぁ、いいか。合理的だよ。

(5)24日の

晩は、焼き鳥屋に連れて行きました。ミュンヘンのレストランはとても広くて天井も高いところ が多かったので、小さい店を選んだのですが、喜んでくれていました。さすがに鶏のサシミは No thank you.、私はナンコツがすきなのですが、一生懸命説明したら、No thank youでした。
ただ、だいたいのものは美味しく食べることができたようで、焼き鳥は初体験だったらしいのですが、 満足してもらえ、私もほっとしました。
2日間の日程が終わり、残業時間に突入したものの、 どうやら、瑣末な作業が残っているだけだということなので、 25日の晩もディナーに連れて行こう、とオフィスで店を物色していたのですが、 なかなか、作業が終わったという連絡がはいりません。訊いてみると、 深刻な問題が一点残っているそうで、さっきまでは、全然問題がないと言っていたのに 話がちがうじゃないか、と思い少々いらつきながら、それからずっと待っていたのですが、待てど暮らせど 終わらないようです。外では雨が降り続き、気分はイマイチ。
21時すぎにもう一度打ち合わせをしてみると、まだまだ問題が解決できそうな雰囲気ではなく、 結局、23時15分まで、粘ったのですが、解決のメドはついたものの、 その点だけはうまくいきませんでした。発生する確率は 非常に低い問題なので、99%はうまくいったと言えるのですが、なんだか、気分は晴れません。
他にも一点、話が違うよ、と言いたいところもあるけれど、英語でケンカするのは ちょっと荷が重いよな、法務部にこのことを言うと、契約書どおりに全部してもらえ、と怒られそうだし、 あーあ、英語って大事だよなぁ、なんて思いながら、ホテルの前で、顔はニコニコ感謝の言葉と堅い 握手で別れを告げ、 最終電車に乗って少し落ち込みながら帰宅したのでした。


24日の午後から雨が降り始め梅雨らしい天気が続いてます。
朝日新聞の26日の夕刊によれば、気象庁の天気予報が苦戦中、ということで、昨年一年間の天気予報は、 「大外れ日数」(注1)が、前年よりも増えていたことが明らかになったそうです。
大外れ日数は降雨では30日、最高気温が56日、最低気温が30日だったそうです。実際の感覚では、もっと外している気がしますよね。 目標は06年までにそれぞれ 25,40,25だそうですが、まぁ、無理でしょう。
予想外の出来事を、できるだけあらかじめ予想して計画に組み入れたら、すべては計画通り、 となるはずで、それがマネジメントです。

予想外の出来事だらけで目を白黒させてばかり

いるようじゃ、まだまだ、アマちゃんですよね。
しかも、計画、コンセプト、ベンチマーク、 成功したときの利益予測、失敗したときのリスク回避、すべて文書化して上位マネジメントと 合意しなければいけません。
すみません、できてません。明日から、また頑張るよ。


4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ
(c)Shimamura,T
トップページ  パパーノ Index  メール  hardy@max.hi-ho.ne.jp

注1)「大外れ」の定義があるようです

気象庁のホームページから 気象庁業務評価レポート(平成16年度版)を見ると詳しいです。 「第3章 実績評価(チェックアップ)」をダウンロードして見てください。台風や地震など、 かなりたくさんの項目 について、予報精度の達成目標と現状が報告されています。
その中でも、天気予報について、抜粋します。

基本目標1−4−1 生活向上、社会経済活動の発展のための天気予報、週間天気予報の充実

1.天気予報の精度(明日予報が大きくはずれた(注)年間日数、週間天気予報におけ る降水の有無の適中率と最高・最低気温の予報誤差)
・明日の天気予報において、降水確率、最高気温、最低気温が大きくはずれた年間 日数(12 年は、それぞれ全国平均で31 日、49 日、33 日)を、18 年までにそれ ぞれ2割程度減らし、25 日、40 日、25 日にする。16 年度は、外れた事例の原因 分析に基づき予測資料の改善を図る。
・ 週間天気予報の5日後の精度を、18 年までに、12 年時点における4日後の精度 まで向上させ、全国平均で降水の有無の適中率を70%(12 年は67%)に、最高・ 最低気温の予測誤差を各2.4℃、1.9℃(12 年は各2.6℃、2.1℃)に改善する。16 年度は、外れた事例の原因分析に基づき予測資料の改善を図る。
 注:雨:降水確率が50%以上はずれた日数
     最高・最低気温:3℃以上はずれた日数

過去3年間の明日の天気予報の測定値
      平成13 年  平成14 年  平成15 年
雨   28 日    28 日     30 日
最高気温  53 日    55 日     56 日
最低気温   32 日    36 日     30 日
過去3年間の週間天気予報の測定値
      平成13 年  平成14 年  平成15 年
雨   69%     69%      67%
最高気温  2.7℃    2.7℃     2.7℃
最低気温   2.2℃    2.2℃     2.2℃