パパーノなんなんでしょう

No.63
2005/ 5/21

You say you're looking for someone
Who'll pick you up each time you fall
(Bob Dylan, "It Ain't Me Babe")

今回のなんなんでしょうは、
イラク・ホープ・ダイアリー
です。


何が言いたい

(1)新しい

年度が始まり1ヶ月が過ぎ、4月づけで異動した人もそろそろ新しい職場で慣れてきたころでしょう。
今ちょうど今年度の役割、目標と計画について、一人一人と面談しているところなのですが、 まぁ、私はそんなに沢山のメンバーがいるわけでないので、まだマシですが、これが20人、30人、とも なると大変ですよね。一人平均で1時間かけて面談したとして、3日から4日、順番に1対1 で話をすることになるわけですから、相当な根性が必要です。
しかも、こちらの言うことをガンとして聞かない人がいると、さらに大変です。しかも、相手のほうが 頭がよかったり年上だったりなんかして、だんだん、こっちのほうが間違っているような気がしたりして、 そのうち、逆に説教されたりなんかして、まぁ、若手社員諸君、君たちもそのうち、そういう立場に なるんだぜ、ちょっとは気を使って優しくしてな。
「こんなやり方じゃ、事業部さんが受け入れてくれませんよ。 やっていることがオカシイですよ。」
「いやいや、今の事業部のほうがオカシイんですよ。あんなやり方じゃ、もうすぐ潰れますからね。それが わかっていないんですよ。なんで、わからないかなぁ、君には。」
「それは間違ってますよ。なんでそんなことが言えるんですか。 技術の中身がわかっているんですか?トンチンカンなことばかり言うくせに。ユーザーさんの 声を聞いてますか?聞いてないでしょう? なんで、これだけ言ってもわかってもらえないんですか。」
「あのな、私だって辛くて苦しくて寂しいんだ、わかってくれよ。」
「そんな問題じゃないでしょう。」
恐ろしいなぁ。

(2)幸い、

私の配下には、人の話を聞こうともしない困ったチャンはいないし、 文句ばかり百人前でちっとも働かないグータラな先輩もいないし、 目的意識も意欲も高い若くて頭のいいメンバーばかりです。しかも、私が言うことを ちゃんと聞いてくれます。面談によって、メンバーの意識の高さ、そしてやる気を 確認すると、まるで私自身が偉くなったような錯覚を覚えます。たまたま、素晴らしい人材が 揃っただけなのに、自分が揃えて意識づけをしたような、そんな気がしてしまうからです。
みんな素直でいいヤツばかりなので、いきおい、私がしゃべる時間が長くなり、 真のコミュニケーションがとれているのか、かえって、はなはだ不安になるのですが、 ま、とりあえずは、よしとしておきましょう。
みんなに共通してお願いしたことは、本を読みましょう、ということです。本は経験の不足を 補ってくれます。客観性を身につけること、客観と主観とはどういうことなのか考えること、 そして、技術開発といえども人間がやっているのだ、というアタリマエのこと。
科学技術書だけでなく、哲学、文学、ノンフィクション、いろんな本を読んでほしいと思います。

(3)それはさておき

ここのところ、斉藤昭彦氏の記事をほとんどみかけなくなり、今、asahi.comで検索してみましたが、 最近では、ほとんど触れられていないようです。今回の事件はこれまでの人質事件とは異なり、 斉藤氏がいわば外人部隊の傭兵のような立場だったため、ネット上でも「彼にはシンパシーを感じない」 といった言説が目立ちます。
私も、この事件で始めてハート・セキュリティ社のことを知ったとき、とても驚きました。これまで 誰も触れてこなかった世界の裏側がいきなり表に現れたこと、自分の視点からまったく抜けていた 重要な事実に気がついた驚きです。
2005年5月14日づけの 朝日新聞に本山美彦京大大学院教授の解説によれば、 どっかで聞いたような3文字のアルファベットPMC−民間軍事会社(注1) というのが世界に数百社あると 言われていて、各国とも、高額の警護費用を払って警備員として雇ったり しているそうで、イラクでは2万人ものPMC社員が働いているということです。しかも、これらのPMCのうち 世界有数の政治家が顧問を務める投資会社の傘下にある会社もあるということで、 そんなこと、これまで、まったく知りませんでした。
見えにくくなっているだけで、カゲで儲けている本当に悪いヤツがどこかにいる。ブッシュだ、 小泉だ、と実は彼らは道化なのかもしれない。 しかし、世界は私が思うほど単純じゃない。

(4)もう一つの驚きは、

日本人もそうした活動に加わっていたことでした。 自衛隊派遣という表とは別に個人で戦争に参加している のです。およそ大儀とか理念などとかけ離れた地点で。善意のボランティア活動中に人質になった、 あるいは、リスクを背負って報道のために現地に赴いて巻き込まれた、あるいは、なぜかわからないが 金も持たずにうろうろしていた、といったこととは違い、「だから、日本人っていうのはさぁ、..」などと 居酒屋で簡単に話をすることのできない、そんな面を顕わにしてしまったと思えます。
でも彼も明らかに日本人であり、家族もいるのです。 これまでとうってかわってあまりに極端に静かすぎる報道陣。マスコミは何を使命にしているのでしょうか。口あたりのいい、わかりやすい、そんな事件ばかり大きくセンセーショナルにとりあげる、 しかも、起こった後になってから。きっと、あわててフタをしたり取り繕ったりすることをせずに、 みんなが自然に忘れるのを待っているのかもしれません。
JR西日本の事件の取り扱いはまったく逆で、どちらかというと瑣末な事件を ことさら大げさに騒ぎ立てることで、本質をごまかそうとしているのではないか、という意図さえ 感じます。
置石や置き自転車(!)、そして車掌や運転士などに「人殺し」などと言ったり、後ろから突いたり、 なんと、そんな人の多いことか。 いったい、この世界はどうなっていってしまうのでしょう。
まだ、伝わってくるだけでもマシなのかも知れませんが。

(5)さて、

いい季節になりました。先週、14日に自転車を転がして 深泥池(注2)から大田神社へ足を伸ばしてみました。
深泥池でカモに餌をやっているのを、のんびり眺め、大田神社へ足を伸ばします。毎年、有名なカキツバタを 見ようと思いながらなかなかタイミングが合わなかったのですが、今年はバッチリです。
美しいですね。でもね、300円の入場料を取られるんですよ。上賀茂神社の横を抜け、鴨川の 河川敷を走って帰りました。空はあくまで青く、風が心地よく吹き、心洗われる一日でした。


面談は相手の言うことをよく聞くことが大事です。
「この際だから言っておきたいこと、とか、困っていることとか、プライベートでも なんでもいいし、何か言っておきたいことない?」
「う〜ん、・・・ありません。」
「なんか、歯にものが挟まったような言い方だなぁ。なんかあるんちゃうの。」
「いや、ありませんよ。」
「本当?気になるなぁ。」
「本当ですったら。」
「でも、私は君に言いたいことがたくさんあるぞ。だいたい、そんな風にはっきりモノが 言えないようでは、これからの時代は、ああたらこうたら・・・(後略:説教3時間)」

また、こっちがしゃべりまくってしまった

おれってダメなヤツだなぁ。面談後、後悔12時間。上司も悩んで苦労しているのだよ。 たぶん、きっと。


4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ
(c)Shimamura,T
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注1)PMC

パナソニック・モバイル・コ・・・、お、恐ろしくてこれ以上書けない。

注2)実は、私は

名前を間違えて憶えていたようです。「みどろがいけ」じゃなくて正しくは「みぞろがいけ」のようですね。