パパーノなんなんでしょう

No.71
2005/ 11/21


Then you better start swimming
or you'll sink like a stone.
(Bob Dylan, "The Times They Are A-Changin'")

今回のなんなんでしょうは、
一蘭
です。


改善しよう、明日から

(1)昇格試験の形式は

各社各様でいろいろだと思うのですが、私の会社では、 8月から12月まで4ヶ月くらい、「研修」と称した活動をすることになっています。 毎年、人事の気まぐれ、もとい、深遠なる哲学によってやる内容が変わるのですが、 最終的に、11月末から12月頭のどこかで経営幹部の前で発表をしないといけません。
今の時期は、最終報告の発表や面談の直前になるので、大変な思いをしている人も 多いのです。毎年、7月や11月には、個人的な相談を受けることが多く、私のときには どんな発表をしてどんな質問があったのか、資料はどんなコンセプトで作ったのか、等々 先輩風をふかしてアルことナイこと、いろいろ吹き込みます。
「そういえば、こんな質問もあったぞ。『今、日本の円はどれくらいか知っているか?』」
「へぇ、どう答えたんですか?」
「100円くらいだったと思います、と答えたのだけど、次の質問が『それは当社にとって、 どうなんだ?』、わからないのでテキトーに、ちょうどいいくらいだと思います、と答えたところ。」
「答えたところ。」
「『なぜ、そう思うのか答えよ』の一言で撃沈よ。厳しいねぇ。」
「へー、そうなんですか。」
いや、ネタがそんなにないので、同じネタばかりで、相手も「いつもワンパターンだなぁ、またこの 話かよ」 と内心思っているのでしょうが、そんなことはおくびにも出さず適当に相手をして私を いい気分にさせておけば、私のファイル一式が 手に入るわけです。私ごときの資料が参考になるかどうか疑問ではありますが、引き合いが多いところ を見ると多少は参考になっているのかもしれません。

(2)昇格する前に

厳しい研修があれば昇格後にも研修があります。こちらは、昇格後なので、それほど厳しい研修という わけではないのですが、怖い怖い人事の手前、なるべくキチンとした態度で臨むのが身のためです。
「なんで、ウチの会社はこんなに研修ばかりさせるんだよ、まったくこの忙しいときに。やってらんねぇよ。」 とブツブツ言いながらも、実は頬が緩んでいたりして、お気楽に「帰りに何食べてこよっかなぁ。」 などと考えていたりするものです。
そうはいっても、やるからには、あんまり恥ずかしい結果を出すのもなんだし、 最後のほうは、またいつものギリギリになっての追い込み 作戦で、徹夜で論文や発表資料などを作ったりしてしまうのが世の常です。
今回、私が受講した新任参事向けの研修は数人のグループに分かれてそれぞれテーマを決めて、調査、討論などを 行い、論文にして経営提言をする、という内容です。 広いグループ会社全体で行うので、他の事業場やまったく違う商品 分野を担当している人とも交流ができ、しかも、お互いの事業場を持ち回りで会場にして討論したりする なかなか有意義な研修です。私は、クジで編集長になってしまったのですが、 「ラッキー、編集長ということは 何も書かなくてもよくて、まとめればいいだけだから、楽じゃん」と思ったのが大間違い。
深みのない活動と浅い討論の結果、みんなから出たバラバラな原稿をうまくまとめて提出できる論文に 仕上げるのに、四苦八苦、四当五落、五臓六腑、七転八倒、七転び八起き、今日がだめでも明日があるさ、 先週はかなり苦労しました。
成果はというと、富山で食べた「大喜」の富山ブラック、博多で食べた「一蘭」のトンコツラーメン、かな。富山駅で買った寿司も美味しかった。有意義だなぁ。(注1

(3)ところで、最近

車を買い換えました。これまでは、軽のワンボックスに乗っていて、維持費が安いうえに、フリーマの荷物や、 バーベキューや、海に遊びに行くときの荷物もタップリと載せることができ、 とても便利だったのですが、なにせ軽。高速でアクセルを目一杯 踏み込んで、6000回転を超える回転数でやっと時速80km。追い風下り坂限定でやっと時速100km出るという 、いつ誰に抜かれても腹もたたない、坂道でノロノロなので後続の車に恐縮してしまう、そんな車でした。
今度の車は、モデルチェンジしたホンダステップワゴンです。前のステップワゴンはちょっと角角として、もっさい 印象があったのですが、デザインがスマートになりました。さすがに軽く踏み込んだだけですぐに時速80kmが 出ます。50kmを超えるところで、スムースに加速するので、スピード違反をしないように気をつけなければ なりません。そして、なんといってもオーディオが気に入りました。ウッドベースの音もよく響くので、 ジャズのCDも気持ちよく聞けます。
ところで、車を選ぶときに情報を収集するために、各社のホームページを見たのですが、 フラッシュを使って見栄えはカッコよくできているのですが、必要な情報を調べるのにえらい時間がかかり、 まったくもって腹タダシク思いました。
あれは、パフォーマンスの悪いPCで、しかも通信速度が遅いとどうしようもないだろうな。 もっと実用的にするべきですよ、トヨタさん、 3年連続1兆円を超える利益を出し、来年には2兆円もの利益が 出るというのですから、ホームページくらい見るほうの立場にたって、どんどんカイゼンしてください。

(4)トヨタの

「カイゼン」は有名です。まず、「問題」とはなんでしょうか。
あるべき姿と現状との差異をいいます。で、問題は3つの種類があります。
一つ目は見える問題です。 これは、すでに顕在化している問題で、たとえば週報を出すのが遅れ、金曜日の午前中には出さないと いけないのに、土曜日の朝、あるいは日曜日、ひどいときはサボるときもある、というような問題です。
二つ目が見つける問題です。これは潜在的な問題です。会社のパソコンを入れたカバンを持って帰りに飲みにいったり して、カッコつけてガンガン強い酒を飲んでいると、パソコンを失くして懲戒免職になるかもしれない、といったような問題です(注2)。
三つ目は作る問題です。問題なんて無ければいいんじゃないの、わざわざ作らなくてもいいじゃん、と思うかもしれませんが、そうでもありません。 問題はあるべき姿と現状との差異をいうので、あるべき姿がこれでいいのか、 というのはもっと根本的な問題です。 今は問題はないし、潜在的な問題もないとしても、もっと高いあるべき姿があるんじゃないか、 あったとして、現状との差異を認識し改善しよう、これが作る問題の取り組み方です。
たとえば、すでに顧客とも合意した2010年ロードマップがあって、これに従って開発を進めているけれど、 実際にはもっとこうしたほうが顧客に価値を提供できるのではないか、と考え、毎年、毎年、 前年のことはなかったことにしてロードマップを新たに作る、とか、そういう問題です(注3)。
トヨタは入社してから、徹底的に改善を勉強させるのだそうです。聞いたところでは、 見える問題から作る問題まで、順番に3年とか5年とかかけて実地に勉強させるということです。
そしてこの精神は、トヨタの内部向けスローガン「打倒トヨタ」に、よく現れています。
また、トヨタはマネージャへの評価は業績よりも人を育てることを重視するのだそうです。いろんな施策はどこでも 同じようにとれます。その中で差別化するのは、その会社にしかいないという人をいかに育て増やせるか、という ことにかかっていると思います。

(5)このページの更新は

3週間に一度のペースを保っていたのですが、今回はちょっと遅れました。
仕事のほうがちょいと忙しくなったのと、研修の追い込みが重なり、すこしグロッキー気味なのです。
いつのまにか、ロッテも日本一になり、アジアシリーズでも勝ちまくり、11月も末が近付き、 年末ももうすぐです。今朝、6時半からテニスの壁打ちに行き、 1時間ほどたっぷりプレーしてきたのですが、寒くなってきたせいか、さすがに すいてきました。毎週欠かさず3ヶ月目に突入し、1面を3人並んで使う状況でも、 楽にラリーが続くくらい、上達してきました。課題のバックハンドもかなりマシになり、 逆にフォアの粗が目立つようになってきたものの、ファーストサービスもフォームが安定しはじめ、 コントロールもだいぶマシになったので、1時間でもちょっと物足りない気がします。 まぁ、もともとかなり下手だったから、 進歩がわかりやすいのです。
そういえば、この間、ハムの十三参りに行って来ました。
関西ではポピュラーな七五三の次の行事です。嵐山の法輪寺へ 行くのが慣わしです。 その嵐山の法輪寺には、電気電波の神様が奉ってある電電宮というのがあります。仕事がら、お参りを しておきました。電電宮の、少し色づき始めたモミジをどうぞ。

今年は、いろいろな面で向上した実感が持てて、自分としては 少し自信がついてきたと思うのですが、テニスと 同じで最初のレベルが低いのでわかりやすいだけでしょう。 まだまだ、見える問題に取り組んでいる状態ですから。 仕事への取り組み方はもっと改善しなければならない、とつくづく思います。
もう来月になれば、来年度の開発計画をたて、事業計画を 作らないといけません。今年は先回りしようと思っていたのですが、やっぱり状況に 振り回されているために、まだ十分に考えられていない状態です。
またしてもロードマップと戦略だ!


先週から、「意志力革命」(著:ハイケ・ブルック、スマントラ・ゴシャール、訳:野田智義、発行:(株)ランダムハウス講談社)という本を読んでいます。最近、つくづく感じ、 たびたびここに書いている「モチベーションだけでは仕事は進まない」という言葉が帯に書いてあります。
いかに自分を目的意識の従った行動力のある人間に変えていくか、その心得が書いてあり、かなり参考になる本で、 お勧めです。
金言もいくつもあります。その中のひとつ。

時には、許可を得るよりも
後ですみませんと言ったほうがよい

思わず同意の笑いを漏らしてしまいましたが、私の場合は、規則遵守のほうを もっと努力しないといけないんだろうな。
はははははは。
「反対意見を言うものの敵を作らない」そんな優秀なマネージャになってはじめて 理解を得られる一言ですね。


4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ
(c)Shimamura,T
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注1)感想

くどくなるので本文には書かなかったのですが、ここに食べた感想を書くことにしましょう。
まず、大喜の富山ブラック。

実は、富山への出張は一度経験があるのですが、そのときは 深夜0時に富山駅についたところ、屋台が駅前に出ていて 「しまったー大阪で食べて出るんじゃなかった、想定外だった。」と後悔したのでした。 そこで、今回のチャンスに食べてきました富山ブラック。 たまたま見つけた店が、富山で最も古いラーメン専門店という「大喜」でした。なんでも、昭和22年創業だそうで、 「半世紀以上昔、ドカ弁やおにぎりを持った労働者のために、おやっさんは濃い味付けでチャーシューのたっぷりはいった「よく噛んで」食べるおかずの中華そばを考え出した。」 と書いてあります。
麺は太めで短いストレート。ブラックという名のふさわしい、醤油からい真っ黒のスープ、実は、あら引きの黒胡椒がよく効いています。 色にたがわず、味が濃いです。入っているメンマも塩辛いくらいに味がついています。 おいしいですけど、やっぱりちょっとくどいな。 しゃれで超大盛りにしようかと思ったのですが、思いとどまってよかった。
次は、一蘭のトンコツラーメン。
ここも三位一体が特徴で「秘伝のたれ」と「スープ」と「自家製生麺」、 なんといっても、世界初!味集中カウンター(リンクしたHPの「こだわりのシステム」を見てください) ・・・そりゃ世界初だろう、隣としきりがあって目の前がのれんで目隠しされているカウンター、しかも、白熱灯の薄暗い照明、と、ちょっとキテいる店でした。
あれは、すんごく狭いスペースに客にそれと気がつかせずに食べさせる、味へのこだわりは隠れ蓑とニラみました。
味は、こってりにみせかけて実はあっさりしている、ソーメンのように細い、普通に美味しい博多のトンコツラーメンでした。替え玉もしました。
ちなみに、福岡出身の同僚はトンコツラーメンが好きでたまらんそうですが、富山出身の方は「富山県人のラーメンの 好みはおかしいと思う。」と言っていました。

注2)いや、ここまでいくと

第一の問題じゃないか、と思われるフシもあるかと思うのですが、気のせい気のせい。
もっと適当な例を考えました。
お茶がこぼれているじゃないか、が第一の問題。そんなもち方をしたらお茶がこぼれるかもしれないじゃんか、が 第二の問題。手に障害がある人が使ってもお茶がこぼれないような湯のみはどうするべきか、が第三の問題。

注3)信じないでください

I am OK, you are OK.という関係で顧客と共有できているロードマップは稀です。

注4)他にも

コーチングの研修も受けました。ひところ、ブームになって魔法の言葉のように あちこちでささやかれた「コーチング」ですが、一言でいうならば、「戦略的コミュニケーション」 です。まぁた戦略かい、コミュニケーションにも戦略が必要だなんてよっぽど戦略が 好きなんだな、という声が聞こえてきそうですが、相手と信頼関係を築き、良好なコミュニケーション のもとにうまくやる気を引き出し、自然に自ら高いモチベーションで仕事をするように する、そういう手法です。
コミュニケーションなんて普段問題なくとれている、と思う人がほとんどだと思うのですが、 実際に試してみるといかに人の話を聞けてないか、思うように話せていないか、よくわかります。 話を聞く難しさは特に衝撃的です。相手に質問をして返ってきた返事を、要約して言い換える ということをしてみると、なかなか思うようにいきません。
実は自分でも、言おうとしていることやその本当の奥底にある、本当の問題点を十分に意識できずに しゃべっていることも多いことに気づき、コーチングの考え方や手法はなかなか強力です。
専門のトレーニングを受けたほうがいいと思いました。