今年度の総括と来年度の計画についてのヒアリングが行われており、順番の早いプロジェクトはもう
終わっているところもあります。スマートな同期の技術者がマネジャーをしているプロジェクトで、
しばし、私のプロジェクトが話題になったらしく、しばらく紛糾していたと風の便りで聞きました。
「パパーノのところは、これまでの現状改善直近課題解決明日は野となれ山となれ型テーマに加え
新規テーマもやろうとしているらしいが、本当にできるのか?」
心配になるのは当然で、どうしても目の前の緊急事態にひっぱられ、本来しないといけない長期テーマの
リソースをそちらへ当ててしまうことになりがちで、それなら、明確にマネジャーを分けておいたほうが
いい、という話もあるわけですが、いいじゃないですか、私も目の前ばかりて飽きてきましたから、
ちょっとは先のこともやらせてくださいよ。
私のヒアリングはまだ、もう少し先なのですが、どうせ、今直面している緊急課題についてだけで
議論が沸騰し、先のテーマの議論までに到底たどり着けないような気もするのですが、ひょっとすると、
新規テーマの詳細を突っ込まれてボロボロにされる可能性もあります。
なにせ、「新規」、というだけあって、どうしたらいいのか、よくわかっていないのです。
「新しいことをやるったって、何をどういうふうに進めるつもりか、説明してほしい。」
「目の前にある芽を育てます。進め方は気合あるのみです。」
「それじゃこれまでと一緒じゃないか。バカモン。」
そうです、問われるのは、これまでできなかったことが来年度に何故できるようになるのか、です。
「去年の私と今年の私は違いますよ。」
「どう違うんだ。」
「心をいれかえ、もっとパワフルになりました。」
「去年言ってたことと同じじゃないか、バカモン。」
社外の研修を受けに東京へ行ってきました。プロジェクトマネジメントに関する研修ですが、
去年の夏に読んだ
「アジャイル・プロジェクト・マネジメント」に沿った内容と、
TOC-CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)についてで、なかなか有意義でした。とくに
TOCのほうは、日程の立て方にちょっと目からうろこが落ちる工夫があって、なかなか参考になりました。(注1)
毎年、前年度と違ってパワフルになるために、
年間に最低一回はこういった研修を受けて、スキルアップをするつもりでいるのです。
ここのところ、遠方への出張をしていなかったので、久しぶりの東京もちょっと楽しみで美味しい蕎麦を
食べて来ました(注2)。
それにしても、せっかく、自分で苦労して見つけた研修を受けて自分だけの秘密の武器にしようと思っても、
社内の研修で似たようなものができたりして、それが、技術企画室の企画だったりして、
マネジャー、チームリーダーは必修だったりして、それを皆が身につけてしまうと差別化が図れなくなり、
なんとなく理不尽な気もしてしまったりするのですが、これは今の世の常、仕方ありません。
これが、現代社会の本質なのです。知識を持ち、それを活かすことで仕事の付加価値が
生まれるわけですが、知識は誰にでもその気になれば手に入るのです。だからして、競争が
激しくなるのは必然であり、そんなことに悩んでいる時間に知識をどんどん吸収し、そのうえで、自分の目で見、
自分の耳で聞き、自分の頭で考えて実行していくことが大事なのです。
ますますアジャイルに読書熱がはいるわけですが、
今月は今年3冊目の洋書"Built to Last", Jim Collins and Jerry I. Porras: HarperCollins Publishers (1994, 1997, 2002)を読んでいます。1日7ページ平均
で読んで、3月25日に読了予定です。これまでのところ順調で、なんとかオンラインで推移しています(
小学生なみの進捗管理)。
日本語訳も「ビジョナリーカンパニー」というタイトルで出ている大ベストセラーで、世界の
エグゼクティブへインタビューした結果から選ばれた18社の「ビジョナリーカンパニー」をそれぞれコンペチタと比較
分析をして、勝つ秘訣、強い秘密を解き明かした本です(注3)。
分析の結果、勝つ秘訣は、カリスマなリーダーがいることや、世界に類を見ない発明をよりどころにすることや、
とんがった製品で商売をスタートすること、などではないそうです。
強さの秘密は、Core Value(自らの価値をどこにおくか)とPurpose(存在意義、目的)の定義からなる
Core Ideology(理念)を持っていること、そして、それを継承するべく、
後継者を注意深く選び、社員に浸透させていること、です。経営環境はどんどん変化し、コンペチタも変化し、
戦略や組織はそれに適応して変化させなければならないのですが、理念だけはどんなに時が経っても変らない、それが
強い18社に共通することだということです。単に儲けるためではなく、理念のために仕事をする、それがビジョナリーカンパニーなのです。
どんな小さい組織でも、不変の理念を持って運営し、強い組織にすることを勧めています。
日本語の本も読んでいるのですが、今年はシステム思考関連の本を月1冊のわりで年間12冊読むつもりでいます。
少し遅れ気味ですが、今年の2冊目、西村行功氏の「シナリオ・シンキング」
(ダイヤモンド社、2003年)を読んでいます。シナリオとは、
未来についての予測やトレンドから導かれ確率で示された複数の予測、ではなく、不確実性に着目して、未来について
描いた「複数の世界」ということです。未来は予測できず、情報を分析している間に経営環境がどんどん変っていく
時代です。「『未来は予測できない』という前提を受け入れ、そのうえで、起こる可能性のある未来を複数考える」
そして、「『未来をどう予測するか』ではなく、『その未来が来たらどうするか』」を考えるのがシナリオシンキング
ということです。大事なことは、論理的な思考、複数の要素の因果関係と時間の経過を考慮するシステム思考、そして、
客観的に広い視野から検討するオブジェクディブ思考を駆使し、組織全体で使えるツールとすることです。
図も多く、例が豊富で、分かりやすい。この本はお勧めです。是非、読んでみてください。
最近、決裁をいただきにあがったときに、いつもどおり状況を訊かれ、力強く答えました。
「パパーノ君、どうや、調子は?」
「力一杯頑張っています。」
「バカモン、お前、いっつもそればっかりじゃないか。」
「おそれいります。」
「いくら頑張っても頑張っても、他社も頑張っているからな、なかなか追いつかへんやろ?」
「ま、そうですね、しかも冷静に分析すると、当社は周回遅れか2周回遅れか、そんな感じですから、
まだまだ先が見えない状況です。」
「なら、どうするんや。」
「ますます力一杯頑張るのみです。」
「ふむ....。それも一つの考え方やな。」
携帯関連の市場は変化のスピードが早く、技術的にハングリーで、次々に革新的な新製品を
投入する必要があります。なおかつ、価格下落の圧力が高いために
数量が増えてもパイは増えません。
タフな環境と、しのぎを削る高度な技術開発の要求は、そもそもアジャイルなマネジメント、アジャイルな
メンバーを要求します。
そして、現行商品の開発と未来の事業のための基礎開発と、どちらか一つ(orの発想)、ではなく、両方を力強く
取りに行く(andの発想)、そんなことが要求されているのではないかと思うのです。
だんだん、メンバーが力をつけ、パワフルにアジャイルに進められるように
なってきたように思います。ぼんやりと光が見えてきた、そんな気もしています。
さて、去年たてた目標の中で、TOEICで800点をとる、というのがあったのですが、それなりに勉強したので、なんとかなるかもと思いつつ、試験をまだ受けていません。目標に対してどうだったのか、 このページでもこのことには触れずに、実のところ、
飲みすぎて忘れたという説得力満点の言い訳
を用意しながら、忘れられるのを待とうとたくらんでいました。
ところが、つい先日、ふと見たら、若手メンバーのT君がWEBでTOEICの予約をしているではありませんか。
強制でもなんでもなく、すばらしいモチベーションです。自分の設定した目標を達成できているか
どうか確かめたいからだそうです。しかも、一回の試験だと失敗するかもしれないから、2回も
予約するとのこと。アジャイルな態度です。
あまりのことに感動し、私も受けることにしました。だって、示しがつかないじゃないですか。
改めてコミットしましょう。3月19日の試験で800点を突破します。
達成できなかったら...
来年また挑戦します。アジャイルに行こう!
4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ (c)Shimamura,T |
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hardy@max.hi-ho.ne.jp |
注1)アジャイル
のほうは、開発の企画立案に応用するという視点のほかは、ちょっと面白みに欠けました。
もともと、コアの部分は、日程を守ることより、
顧客への価値提供を大事にすること、そのために、段階的に機能を盛り込むこと、日程や仕様を環境の変化に
適応させること、より高い価値提供のためにイノベーションを求めて探索すること、このサイクルを
より速くまわすこと、といった、コンセプト、心構え、あるいは、精神論、といった部分になり、
具体的な進め方はプラクティスと呼ぶように、適用するプロジェクトや会社、
あるいは製品分野によって適用方法を大きく変化させる必要があります(テーラリングといいます)。
実際の生々しい話をしてくれれば、かなり面白かったのでしょうが、なかなかそれも
難しかったのでしょう。このツールをこう使って、こういう構造の仕組みに
すればうまく行く、というものではないので、仕方ありません。
実際、講師の好川氏に質問していたら、この手法を使って、数社、コンサルしているらしいのですが、
それぞれでまったく違っているそうです。フォーマットやツールもすべて一から作るような状況
だということです。
注2)実は
ネットで知り合いになった東京の方がいるのですが、ハシゴ酒が好きだということで、よくあちこちを飲み歩いているそうです。
最近聞いたところでは、蕎麦屋で
日本酒を飲むのに凝っているそうで、その話を聞くたび、美味い蕎麦を食べたい気持ちを募らせていたのです。
だいたい、私は東京出張では、時間の関係で食事も簡単に済ますことが多く、そばはそばでも、立ち食いそば
だったりするのですが、今回はちょっと贅沢にすることにしました。
研修が終わってから1時間もなかったのですが、新橋・烏森口のすぐそばの高架下にある蕎麦屋「そじ坊」に
ちょいと寄って、地鶏のわさび和えと、あなごの天ぷらを肴に信州の日本酒「信濃錦一瓢」を飲み、
蕎麦屋酒を堪能し、最後にざる蕎麦を大盛にしてもらいました。
細切りの蕎麦はコシがあり、ダシは甘めのカツオだしで、生山葵が添えられています。山葵はついている
おろし金で自分ですりおろし、なかなかいい香りと上品な辛さがいい感じでした。
注3)今回の研修でも
「orの発想ではなく、andの発想で」という話があって、「ビジョナリーカンパニー」の影響の大きさを
感じました。これは、例えば、ビジョンを追求することと会社の存続のために短期的な利益を上げることを、
どちらを取りどちらを捨てるのか、という発想ではなく、両方とも追求することが、ビジョナリーカンパニーの
条件だ、という内容です。
例えば、アジャイルに適応かPMBOKで管理か、ではなく、
メンバーの力と環境の要請をかんがみてどちらも使いこなして
いくこと、とか、
未来の事業を作ることと現在の苦しい事業を立て直すこと、どちらか一方だけを選択して実行するのではなく、
両方を追求すること、などです。やってやろうじゃないですか。