パパーノなんなんでしょう

No.77
2006/ 3/21


Then the night turned cold, colder than the moon
(Paul Simon, "Night Games")

今回のなんなんでしょうは、
Berlin Brain-Computer Interface
です。


プロとアマ

(1)毎年毎年

3月はあっという間に過ぎるのはなぜだろう、と思う今日このごろですが、改めて考えてみれば 普段やらないといけないことが できていないために、後追い後追いの仕事になっていて、いまだに仕事に追い回されているあたりが 問題だと改めて反省しています。まだまだアマちゃんでプロとは言えないと恥ずかしい限りです。
それはさておき、 ローリング・ストーンズが来日し、記者会見で、「明日は決勝戦だね。」とミックジャガーが発言しました。 ミックは「アマ(キューバ)とプロ(日本)というスタイルの違うチームが戦うので興味深い」 というようなことも言っていました。(参考:サンスポの記事
そうです、野球は「プロとは何か」「組織と個人」「マネジメント」といったテーマで考える材料の宝庫で、 最近は仕事柄、そんな視点で見ることが多くなりました。
二次リーグの韓国戦で福留が先制のツーランを打ちましたが、打った福留もすごいけれど、あの場面で、 代打に福留を出す王監督の決断力は素晴らしいと思いました。再三、ランナーを出してあと一本が出ない日本の 7回、先頭の松中がツーベースで出塁したものの、バントの下手な(失礼!)多村をそのまま替えずにバントさせて 失敗した、その後ですから。
しかも福留はこの大会では調子悪く、この準決勝になってスタメンからはずしたのです。王監督の選手掌握力、 そして、確かな目、信じる気持ち、決断力、相当なものなのでしょう。
注目すべき点は、バントを失敗した多村はその次の打席でホームランを打っているのです。

(2)WBC

といってもボクシングではなく、ワールド・ベースボール・クラシックの略で、米国が主導して開催した野球の世界一を決める大会です。つい先日の準決勝の韓国日本戦は瞬間で視聴率が50%を超えていたということで、 普段野球に関心のない人でも知っている人は多いことと思います。審判が全員、米国のマイナーの審判で、かなり 物議をかもしました。誤審で入るはずの一点が入らずに米国にサヨナラ負けをした、という事件があり、 ボブ・デビッドソンは日本中で有名人になったりしました。あのおかげで関心を持った人も多いのではないでしょうか。
誤審は結構多かったらしく(参考:SIの記事)、 日本が主張していた「審判は各国から出し、自国の試合の審判はしない」という意見がクローズアップされ、 珍しくものを言う日本、という印象を世界に与えることもできたかもしれません(注1)。
確かに米国戦での判定はアレでしたが、キューバ米国戦でもポールにあたったキューバ選手のホームランを二塁打に したり、なかなかやってくれました。あれでキューバの闘志に火がつき米国を負かした結果、日本が準決勝に 出ることができたのだし、ボブにはかなり感謝しないといけないかもしれません。
なんでメジャーの審判が出なかったかというと、報酬面で折り合いがつかなかったということで、米国らしい、というか なんというか。

(3)米国は

自分のとこが当然No1だと思っているので、大リーグのスターを集めたドミニカ共和国と決勝で対戦というストーリー を描いていたのかもしれませんが、そのため二次リーグはかなり自分たちに有利な組み合わせと日程にしていた ということで、ずるさ満点です(注1)。
日本、韓国、メキシコ、米国、ですからねぇ。しかし、数々の誤審によるサポートを受けたにかかわらず、大リーグの スター選手を集めた米国が出ることができずに、日本、韓国が進出ですから、ちょっと爽快な気がしますね。
しかも、日本にとってみれば、予選、一次リーグと僅差で負けた韓国へのリベンジということでとても盛り上がるわけです。うーむ、 これも米国のおかげだな。
野球を世界に広めて普及させるためと、自国の慢心に警鐘を鳴らし立て直すための米国の戦略だったりして。
考えすぎか。
イチローは、「決勝戦が日本とキューバということで、一番ショックなのはMLB関係者でしょうね。」ということ を言っていたそうですが、ま、それはきっと正しいのでしょう。

(4)この大会では

イチローの発言が目立ちました。日本が一番だ、という趣旨の発言を挑発的に感情的にあちこちで繰り返し、 あのマスコミ嫌いで人を食ったような発言ばかりだったイチローが急にいったいどうしたんだろう、 と思ってしまいました。メジャーリーグでも人種差別は根強く、イチローもかなり不利な判定をされたりしているようで、 米国に対して目にものを見せてやるという気持ちが強い、という説もあるようです(参考-ZAKZAKの記事)。二次リーグで 韓国に負けた日も「ぼくの野球人生で最も屈辱的な日ですね」というかなり感情的なコメントを残し、深夜まで飲みに行って、歯磨きもせずにベッドの上に寝転がり、そのまま眠り込んだ、と言っています。
扇情的な発言とわかりやすい行動をすることで関心を高め、盛り上げようとしているのでしょう。イチローは 自分の役割を考えて演じているのでしょうか。考えすぎか。
でも、本人に聞いてみたら「プロですから」とさらっと言ってのけそうな気がします。

(5)スモールベースボール

とはよく言ったもので、飛車角落ち(松井も城島もいない)で戦う日本はなかなか得点を上げられず、 王監督も大変な思いをしたことでしょう。ただ、ピッチャーの仕上がりがよく、緊迫した、しまった試合になったので、 本当によかったです。ただ、ここでバッター松井だったらなぁ、という場面も多く 松井が出場しなかったのはイチローとは対照的で、批判的な見方をする人も多いのでは ないかと思います。松井が辞退した理由は、大会の趣旨に疑問を持っていたこと、3月という時期の問題、という ことです(参考:スポニチの記事)。 確かに、1ヵ月早めに調整をしないといけないうえ、一度、日本に行って練習および試合、そして、米国に 戻ってきてまた試合、ということで、大事な3月の出場に躊躇するのも無理ありません。
プロとしての責任を考えたときに、シーズン通して所属チームに貢献し、ファンを喜ばせることと思い、これを果たそうと考えると、 簡単に出場するとは言えないのはあたりまえです。日本のファンのことも考えれば相当苦しんだことでしょう。
WBCの趣旨は世界に野球を広める、といいながら、実は米国メジャーリーグ(MLB)のMLBによるMLBのための 祭典だ、という話はあって、MLBの商業主義が本当の趣旨ではないか、というのが言われているようです。
だからこそ参加して優勝してやろう、という考え方と、趣旨に賛同できないので参加しない、という考え方 とどちらも間違いではないと思います。
結果、辞退した松井は自分に厳しい人なのではないでしょうか。
イチローは「この大会ができた時代に自分がプレーしている、そのことに運命を感じる。だから躊躇なく 参加することを決めた」と言っているそうです。王監督は「いろいろ問題があることは事実だ、だが世界の野球の ためにはまずやることが肝心だ」と言っているそうです。(キューバ戦の放送で:アナウンサーの発言)
私は、同じ現実に対する対処の仕方は違っていても、プロに徹してる点では同じだと思います。 饒舌なイチローに対して、松井は自分の考えを声高に言うことはないでしょう。
でもきっとプレーで返してくれるでしょう。今年こそ、打点王のタイトルを取ってほしいものです。


さて、おとといの日曜日、TOEICを受験してきました。
さすがに日頃の勉強の成果が出たか、ヒアリングは大分ましになりました。会話を聞いて、いくつかの質問に 答えるセクションではこれまでチンプンカンプンに近かったのですが、1年半前受けた試験では、少し 聞き取れるようになり、今回は、5割くらい聞き取れました。ただ、そのくらいだと正答するのは難しく、 どうでしょう。点数があがるかどうか微妙です。
と、ここまで書いたところで。

おお、日本優勝!

序盤にリードを奪ったものの、キューバもパワフルでスピード感あふれるプレーで、ハラハラドキドキ。
素晴らしい試合になりました。
すかっといい気持ちで、頑張っていきましょう!


4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ
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注1)書いていること

についてなるべく裏をとるようにしていて、出典をリンクするようにしているのですが、この注1の部分は、 どこかで読んでどこかで聞いたけれど、探しても見つかりませんでした。

追記

キューバ戦でも王監督の采配が光りました。大塚投入のタイミング(8回ワンアウト1点差につめよられてから−結果は 見事な火消し)、福留の代打起用(結果はレフト前2点タイムリー)などなど。川崎はエラーこそしたものの、 いいプレーを随所に見せましたし、9回のホームインは見事にたくみにホームをタッチし、プロの技を見せてくれました。