パパーノなんなんでしょう

No.85
2007/ 9/12

コントロールの難しさ


しばらく更新していませんでしたが、いかがお過ごしでしょうか。
新しい期も始まりゴールデンウイークもすぎ、梅雨が始まり、2つの台風が来て去っていき、物凄く暑かった夏がすぎました。 昔、「20代は10代の2倍、30代は20代の2倍、40代は30代の2倍の速さで時間が過ぎるぞ」と先輩社員がため息交じりに 言っていたのを思い出します。
いや、早く考えをまとめてこのページを更新しようと思いつつ、いつの間にか半年近くが過ぎてしまっているあたり、 ほんとうに私のまわりの時間だけが早く過ぎていっていることを実証しているようです。
じゃ、充実しているのか、というとそうでもなく、仕事がますます難しく、 もがき苦しんでいる毎日でした。
唯一成果を出しているのがダイエットで、こちらはやればやっただけちゃんと成果が出て、ついに、60kg±1kgまで 落とすことができました。

ここらが標準体重なので、この範囲でコントロールしたいところです。順調に痩せている間は成果がはっきり見えるために、楽しく もあり高いモチベーションでダイエットを実施することができたのですが、 維持し抑えるというのはモチベーションの点ではこれまでより相当に劣ります。そのような状況でいかに コントロールするか。モチベーションがなくても、目的目標を考えてやるべきことを冷静にきちんとやる。これはこの3年くらいの間の 苦闘のなかで身に着けたことです。まぁ見ててください。12月末までコントロールしてみせますから。

さて、上に「仕事が難しい」と書きましたが、私が感じている難しさは、プロジェクトのコントロールをどのようにするか、ということです。
一般的に完全に独立したプロジェクトというものはなくて、事業という大きな環境の中で、エネルギーが出たり入ったりする 部分系になっているわけです。環境は、プロジェクトが成立する前提条件なわけで、ある場合は制約条件となり、またある場合は 基盤ともなるわけです。また、事業というのもコンペチタやカスタマといった市場、そして社会というさらに大きな環境の中の 部分系になります。
まず、最初の困難な点は、このような環境が大きく変化することから、それまでの前提条件が変化することです。昨日までの 「やるべし」が今日になると「やることそのものが間違っている」に変わる、ということです。
一番面白くないのは、昨日までの「よくやった」が今日になって「あれは間違っていた」になることです。プロジェクトのスコープを 変えようとする力がいろんな思惑のなかで常に働き、事実、変えざるを得ない部分もあるわけですが、振り回されっぱなしで、 コントロールできません。

コストのマネージメントは、開発予算なんかオーバーしたって鉄面皮なので大丈夫、 という程度の話なので、まぁいいとして、スケジュールとリソース のコントロールはメンバーとの関係において非常に難しさを感じます。
リソースは単純にやるべきことをやるということを考えただけでも、まったく不足していると言わざるを得ないのですが、 そんな中でスケジュールをコントロールしようとするのは、非常につらい。私の理想としては、メンバー一人一人が自立して、 目的目標を考えてどんどん動いて開発を進めていく、ということで、いかにメンバーが自由に動けるかということを 第一に考えているのですが、これはコントロールと相反する部分が多分にあります。
また、メンバーの実施能力が上がれば上がるほど相対的に私の実施能力は下がる一方なので、求心力は下がっていくしかけになっています。 マネージャは猛獣使いみたいなもので、ひとクセもふたクセもある、しかも何かあるとすぐに噛み付いてくるメンバーを うまく躍らせないといけないわけです。普通はアメとムチを上手く使って躍らせるわけですが、 動物愛護家としては、アメを使うのもムチを使うのも今ひとつ自分で納得できず、ということになると、 すごく難しい状況になってくるわけです。

そして、おそらく最も問題なのは、コミュニケーションの部分でしょう。
スコープのコントロールの問題も、事業部や上層部とのコミュニケーションを先手を打ってうまくできていれば、かなり軽減できます。 メンバーの掌握によるスケジュールのコントロールも同様です。誰とどのようにコミュニケーションをとるのか、そして、 与えないといけない情報と私が欲しい必要な情報は何なのか。一番重要なのは、なぜそのような情報を与えたりもらったりしないといけないのか、 その論理的な理由です。相手がどんな人かという点も問題です。同じ価値観で同じ視点で課題を認識していれば、 話は通じやすいのですが、たとえば相手が自分の保身をプライオリティの一位においている場合、それなりの話方をしないと、 まったく通じません。
もともと、内気でいろんな人と上手につきあうことができない自分を振り返ってみると、もともとコミュニケーションの才能はあまりなく、 スキルを身につけるしかないのですが、失敗と後悔の繰り返しで、自分との戦いにちょっと疲れ気味でした。

本を読んで勉強したり、いろいろ努力はしているのですが、かなり参った状態になっていました。そして、崖っぷちに追い込まれた感じだったのですが、ちょっとずつ打っている手が功を奏して、手ごたえを感じはじめています。
暗闇の中をもう何年も彷徨ってきましたが、最近、"Now, Discover Your Strength",M.Buckingham and D.O.Clifton, 2001という本を読んで、 出口が見えてきました。"Highest Goal",Michael Ray,2004、"Presence",Peter Senge et al.2004、なども道しるべになりました。
出口は、実は入り口なのですが、この暗闇の中の経験によって、 入り込んだときよりも一回り大きく自信を持って歩いていくことができると感じています。
もっとも、この夏に、急にプロジェクトの前提の一つを180度転換されてしまい、それ以来、また振り回されています。まだまだ、もう少し、今年いっぱいは悶え苦しみそうですが、もう大丈夫だと思います。

今回は、かなり長くなったわりには、具体的な事例を出すことは少々差し障りがあるので書くこともできず、抽象化して書いたため、全然面白くなかったことでしょう。 また、実はPMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)のカテゴリに分けてそれぞれ感じることを書いてみたのですが、気がついた人は 少なかったかもしれません。
そんな文章になることを予期しつつ、今回、久しぶりに更新した動機は、コミュニケーションのスキルを伸ばすために、 この場を自分の感じていることを素早く論理的に整理して表現する場として活用しようと考えたからです。これからは頻繁に更新します。
次回は本を読んで感じたことをもとに、スキルとタレントについて書いてみようと思います。


4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ
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