一歩離れたら仕事のことなど忘れなよ、なんて思いたくても思えない
人も多いことでしょう。それでも飲みに行くと「おいおい、仕事の話なんか
するなよ、場がしらけるじゃないか。」というふうに言われたりします。そんなこと
を言いながら、実は、同僚の人物批評や上司の悪口、関係する他部署の悪口
で盛り上がったりしていて、矛盾しているよなぁ。
さらに、なぜか必ず女性社員の横に座って別世界を作り出すヤツがいたり、
必ずエライ人と話をしに行って自分をアピールするヤツもいるし、
また、必ず若手をつかまえて説教をしているヤツもいるし、
どうせ、アホなことばかり言っているんだろう、でも、そんなこと
を気にしている自分が腹ただしい、
なんて、ひそかにつまらない思いをしている人もいることでしょう。
とは言っても、仲のよい技術者同士で飲みにいけば仕事談義に花が咲くのは
当たり前で、通勤経路の話や、どこそこが近道だとか、お互いに共通点のない
趣味の話とか、出身地や出身学校の話とか、よりもよっぽど気楽で楽しいわけです。
今回のミュンヘン出張での相手先のドクターの人たちと一緒に
ランチへ行ったり、ディナーへ行ったりしたのですが、技術的な細かい話をしたがり、
また、日本の文化にも
興味があるらしく、なかなか楽しい会話ができました。
ドクターZ氏は、子供のような素直さで、いろいろ質問してきます。
クルマの話から、ホンダの話になり、「人間型ロボットを
最初に開発した会社だ」と言うと、「われわれヨーロッパ人は人間型のロボットを
考えると非常に恐怖を覚える。例えば仕事がすべて取られるのではないか、とか、
そういったことだ、君たちはそうではないのか」と言うので、
「日本ではアストロボーイという
アニメーションフィルムがあって、ロボットにはむしろ親しみを覚えているのだ」と
言ったのですが、アストロボーイを知らない、ということだったし、
いろいろ説明を試みたのですが、ちょっと理解
してもらえなかったようです。こちらも、複雑なことはうまく言えないですしね。
だいぶ前に、ホイチョイプロダクションのマンガで、"Coffee or tee?"とスチュワーデスに訊かれた
男性が焦っておもわず"Yes I do."なんて答えてしまう場面を覚えているのですが、
私の答えは、もちろん、"Beer please."
離陸してすぐに、飲み物がまず出るのですが、何を飲むか訊かれて
"What kind of german beer do you have?"
"Becks beer"
"じゃ、Becks beer please."
じゃ、は日本語です。通じたからいいか。Becksは日本でも容易に手に入ります。
ビールを3本ほど飲んだら、飽きたので、シャンパン(正確にはスパークリングワイン)
と白ワイン、赤ワインと飲みました。ジョッキのビールのサービスが欲しかった。
新幹線でも生ビールの販売を始めて久しいのに。
現地では当然、ビアホールです。初日は新市庁舎の地下にある、ラーツケラー。
次の日はレーベンブロイケラー。3日目はナントカケラー(名前をメモしてこなかった
のですよ、ぐっすし)。それにしても、ラーツケラーは広い。天井も無闇と高いし、
それでもとても混んでいて、みんな、よく食べ、よく飲み、よくしゃべる。
記念にコースターをもらってきました。
どのビアホールでもレーベンブロイを出していました。
いつかWhat's Newで書いたとおり、
レーベンブロイ(p.74(注1))はミュンヘンを本拠にしている
ブリュワリで日本でも有名ですね。
レーベンでも、ピルスナー、ライトビア、ヴァイスビア、デュンケル、ドッペルボック
などの種類があり、それぞれ個性的な味です。
ピルスナーはピルスとも
略しますが、比較的辛口できれがよく、日本のビールに近い味です。
ライトビアは、カロリーオフとか、アルコール度数が軽いというわけでなく、
色が薄いということだそうで、
これも比較的日本のビールに近い。
ヴァイスビアはヴァイチェン
とも言い、英語に直訳すればホワイトビア、日本語に直訳すれば白ビールです。
ヴァイツェンは小麦のことで、小麦(50%以上)を原料に使います。
このビールは、以前にこのコラムで紹介した
ベルギーの修道院ビールのように、
酵母が中に入っています。少し濁った黄金色で、ワインのように香りがよく、
味はすっきりとしかもしっかりとしています。
デュンケルは黒ビールです。ドイツ語のdunkelは英語でdarkだそうです。
こちらは、こくがあって深みがある味がします。
ドッペルボックはアルコール度数もひときわ高く色が濃いビールです。
ボックというのがアルコール度数が高めのビールでドッペルというのは英語でdouble
ということで、さらに高い8%くらいなのです。
このビールは3月から4月にかけて良く飲まれるそうで、ちょっとだけ季節はずれの感があったの
ですが、なに、こちらは日本人なので気にせず、う〜む美味しい。
私の好みからいうと、
どれもメチャメチャ美味しいのですが、やはり、デュンケルかドッペルボックでしょうか。
ところで、上述のドクターZ氏に、日本のビールはどんなだ、と訊かれたので、
日本にもドイツのビール純粋令を守っているビールがある(注2)、
エビスビール(p.236)という、とても美味しくて、味はthickだ、と言った(Janglish)のですが、
"thickっていったいどういうことだ、ギネスのような味なのか"(英語)
と訊かれて、はたと困ってしまいました。私の文章を見てわかるとおり、
日本語でも味を表現するボキャブラリが少なく必ずしも適切とは言いがたいのに、
英語ではなおさらです。散々説明しようと試みて、うまくいかず、結局、とにかく美味しいんだ、
と言うはめになりました。
ドイツのビアホールは、ブリュワリーをそれぞれ決めているらしく、
いろんなメーカのものを飲めるわけではありません。
でも、ホテルのバーではいくつか選べました。
シュパテンのヘラス(p.77)、マイセル(p.84)のヴァイスデュンケル、
ヴェルティンのピルス(p.59)これもコクがあっておいしい。
また、百貨店の地下のバーでもパウラーナー(p.74-75)を飲みました。
0.5lで3.5ユーロ、0.3lで2.5ユーロ前後なので、安いです。どれも
とっても美味しかった。
ミュンヘン空港でおみやげを買おうと免税店をうろうろしていたのですが、
嵐山や清水寺あたりのお土産屋のような店はありません。
キーホルダーを頼まれていたのですが、行く前は、ミュンヘンや空港のみやげ店で
キーホルダーがいっぱいぶら下がっているところで、どれを選ぶか迷っている自分を
想像していました。しかし、実際にあったのは、ほんの数種類で、
しかも、どれもオシャレじゃありません。
また、会社やいつもお世話になっている方々へのおみやげも、
チョコレートくらいしか適当なものがみあたらず、そのチョコレートも
あまりに高いか、それとも数が足りないかどちらかで、うろうろするばかりです。
梅宮アンナ風の店員が、"May I help you?"と訊いてきたので、
このチョコレートのセットでしかもビターの混じったものが欲しいのだけれど
(英語)、と言うと、これはミルクしかない(英語)、と教えてくれました。でも、それっきりで
どっかへ行ってしまい、
だから、こちらを勧めてくれるとか、あれを紹介してくれる、とか
いろいろ相談には乗ってくれませんでした。
結局、時間もあまりなかったので、満足したものは買えませんでした。
おみやげを期待していた人、ごめんなさい。
ウイスキーを買って帰ろうとも思っていたのですが、値段を見るとそれほど割安でもなく、
それほど、珍しいものがあるわけでもないので、買ったら買ったで重たいし、結局
やめにしました。買おうと思っていたブッシュミルズ
のシングルモルトも
26ユーロ強、ということは、日本で買うのとまったく同じような値段です。
ひょっとしたら日本よりも高いかも。昔は、日本で買うと3倍以上の値段がしたもの
だけど、今はそんなことはありません。
日本で高い高級ブランデーなどはやっぱり高いし、それほどユーロも残っていません。
ビールはミュンヘンのヴァイスビアの3本セットなどが、かなりお得な値段
だったのですが、買って帰っても、おそらく1日で飲んでしまうことになるわけで、
それよりも、迷っている時間を節約して、空港のバーで一杯飲んだほうがよっぽどマシです。
というわけで、1杯2.5ユーロのヴァイスビアを2杯飲んでミュンヘンに別れを告げた
のでした。
日本に帰国した次の日(22日)近所の酒屋で、クアーズを買ってきました。Robert B. Parkerの「ユダの山羊」 でスペンサーが「ロッキー山脈の湧き水、すばらしい」と言っていますが、 すっきりとした味です。アメリカのマスプロのビールは味が薄くて水のようで、 雨降りの蒸し暑い日などはとてもいいものです。バドワイザー、ミラーなどもすっきりと飲めます。 アルコール度数が決して低いわけではありません。で、たいていの場合コーンスターチが入っています。 でも、飲む前に、缶の横にある表示を見てみると、今回買ったクアーズは、 日本のビールのように米が入っているようです。そのとき、 ふと気がついたのですが、
Made in China
と書かれていました。なんだか、がっかり。
4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ (c)Shimamura,T |
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hardy@max.hi-ho.ne.jp |
注1)カッコ内の数字は
「世界ビール大全」(マイケルジャクソン著、金坂留美子訳 (株)山海堂、1996年)初版の 掲載ページです。星の数はどれも2〜3でした。
注2)他にもWhat's Newにも紹介した、銀河高原ビールは、白ビール、ヴァイチェン、 ドイツクラシックと、本場のビールに負けないビールを造っています。今回ミュンヘンで 負けていないと思いました。先方のW氏も、日本でビールを飲んだけど結構おいしかった、と 言っていました。