来期の計画に関するヒアリングがあり、いろいろ突っ込まれてボロンチョンでした。
「確かに、この一年、私にとって、リアルな一発逆転ストーリーを作ることが最大の課題でしたが、
目の前に山積する技術課題の解決に手一杯でできませんでした。しかもそれについては事業化に
間に合いませんでした。先のことなどまったく考えられない状態です。大変申し訳ございません。」
と泣きながら言うことが精一杯で、ボーっと放心状態でオフィスに戻り、
その日は何も考えることもできず、夢遊病者状態のまま、一日が過ぎました。
再度、戦略を見直し、人材の育成計画も含めてリアルな計画にたてなおし、
2月末にヒアリングだ、という結果になったのです。
そして、つい、おととい(3月4日)、リベンジのヒアリングがありました。今回も同じような点が
問題になりましたが、なんとか、来年度の活動は承認してもらい、4月から必要な費用
に関して決裁印を頂きました。
各研究所の所長、それぞれ視点が違うので、眼が白黒するばかりなのですが、
自分が出来ていないこと、本当にやらねばならないこと、がはっきりするので、
追求されて辛くて悲しくてしょうがなくても指導していただく有難い場だと思うことに
しました。
「なぜ、これまで出来なかったことが来年になったらできるのか、さっぱりわからん。」
「当然です、私にもわからないのです。出来ることを信じてガンバルのみですわ。」
「ガンバルガンバル言うのはいいけれど、出来なかったらどうするんだね?」
「信じてください。ただ、責任のほうはお願いします。」
なんて言えませんからね。
「さかさめがね」って知っていますか?もともと、人間の網膜は上下左右逆さに世界が写っています。
これが正立して見えるのは、脳が情報処理しているからです。さかさめがね、というのは、
プリズムを使って網膜上に世界が正立するように像を結ばせるめがねです。
世界は当然、逆転して見えることになります。
「手足やものの見える位置と感じられる位置とも食い違い、さらに頭の動きにともなって視野が
激しく揺れ動くの、ふだんは何でもないような単純な行動にも不自由をきたし、例外なくひどい
酔いと吐き気をもよおします。」
(「<意識>とは何だろうか
」、著:下條信輔、発行:(株)講談社、
講談社現代新書1439、 1999年)
ところが、順応によって、行動が適応的になるだけでなく、最終的には世界が「正立して」
「安定して」見え出すのだそうです。
ある知覚が正しいのか、それとも錯覚なのか、というのはまさに「視点」の問題なのです。
静岡科学館る・く・るに展示
されているようで、知覚に、じゃなかった、近くにお住まいの方は行ってみてはいかがでしょうか?
前出書の著者の下條教授(カリフィルニア工科大学教授)が展示をプロデュースしています。
この人の文章は丁寧で、少々、まわりくどいけれども難しい内容をわかりやすく書いています。
意識・意志−本当の自分自身だと普通思っている−が、
それまでの経験や周囲との関係によって始めて形成されており、過去や環境から切り離されたものでは
ないこと。自分の目で見たものが本当で客観的だ、と信じていても、見たもの、とはすでに、
自分が(脳が)解釈したものであること、そして、それが人によって、その人の過去の経験や
環境によって(持って生まれた遺伝も含みます)、違ったものでありうる−人は認識できるものしか
認識できない−こと。
「本当の自分がわかってもらえない」
「あいつよりワシのほうが絶対に正しいのに、なんでわかってもらえへんのや?」
「彼の見方はおかしいで」
などと悩む方は是非読んでみてください。
どういうことでしょうか。
以前、No.43 体力と腕力とでスーパーコンピュータの話題を出しましたが、さらにあれから進歩して、書いたときにダントツ
のトップだったNECの地球シミュレータは3位、1位が噂のIBMのBlueGene/Lになっています。ピークで
9.175TFlopsも出ています
(TOP500SUPERCOMPUTER SITES)。さらに
ローレンス・リバモア国立研究所向けに開発中の“BlueGene/L DD2 beta-System”は完成した
あかつきには360TFlopsも出るということで実に地球シミュレータの90倍。
さらに、消費電力も小さいらしく、この性能で、地球シミュレータの1/3ということです。
多くの会社でスーパーコンピュターが身近に使える時代が近いことを実感します
(参考資料)。
そのうち、
会社に導入しようか。
ところで、カーネギーメロン大学教授の金出氏は、「コンピュータが人間の知能を超える時代が来る」
とその著書「
素人のように考え、玄人として実行する」(発行:PHP研究所、2003年)に書いています。
発見創造能力、人間らしさや個性、感情でさえ、近い将来確実に解明されるであろう、とも
書かれています。今、十分にわからないわけだから、否定することもできないわけです。
仮に意識を持ったコンピュータがあったとして、そのコンピュータに意識がある、と私が
確信するのはいったいどういうときなのでしょう。逆の質問。私たちが日頃接している
人間が、あたかも意識を持ったような動作をする精密なアンドロイドではない、とどうして言える
のでしょうか。
人間の意識の曖昧さ、曖昧な客観と主観、現実の危うさ、そして、しかし、それでも
一寸先は闇の厳しい現実。
コンピュータが心を持ったら・・・発狂したり、鬱になったりもするのだろうなぁ。
そういえば、そんなのはSF小説としては古いテーマかな。
「朝の目覚めはどうだい?」とか
「ここのところ、毎日よく寝れるかい?」とか
「月曜日の朝とか、起きるのが辛いことあらへん?」とか
「愛し合ってるかい?」とか
しょっちゅう上司に訊かれたりしませんか?
先日メンタルヘルス研修なるものがあって、1時間と少し、健康管理室の先生から講義をうけました。
いろいろ相談したいこともあったので、その後さらに1時間ほど相談にのってもらいました(注1)。
うつ病のはじまりは、夜眠れなくなることだそうです。仕事が厳しく精神的に追い込まれていくと、
昼間の興奮が夜になっても、どうしても収まらず、なかなか寝付けない、そんな状態になるそうです。
前向きでエネルギッシュな一部のマネージャーには信じられないかもしれませんが、
そんな部下には、叱咤激励は厳禁なのだそうです。
「昔は部下が上司の顔色を伺って仕事をしていたのですが、最近は上司が部下の顔色を伺わないと
いけない時代になったのです。」
というのが、その先生のお言葉でした。
メンバーへの声かけ一つにしても悩みまくる今日このごろです。
さて、上に紹介した金出教授の本は絶対買い物大丈夫、面白いですよ。引用したいところは
沢山あるのですが、
是非、買って読んでみましょう。
かっこいい言葉をひとつ。
「できるやつほど、迷うものなんだ」
迷ってゴチャゴチャ考えて袋小路に入ったときは、KISSアプローチが有効。"Keep it simple, stupid"
の頭文字です。
「こら、簡単にやれ、バカモン」という感じなんだって。
4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ (c)Shimamura,T |
![]() |
![]() |
![]() |
hardy@max.hi-ho.ne.jp |
注1)私自身の
ことに関する相談ではないですよ、念のため。私は元気なのですけどね、ただ、ぶっ倒れたい くらいですけどね、いや、そのうちぶっ倒れるかもしれませんけどね、 そのうち、きっと死ぬでしょうけどね、誰でもみんなそうですけどね、やっぱりワンパターンですけどね、 でも、ま、元来お気楽な性格が幸いして大丈夫です。