パパーノなんなんでしょう

No.66
2005/ 8/3

And if my thought-dreams could be seen
They'd probably put my head in a guillotine
But it's alright, Ma, it's life, and life only.
(Bob Dylan, "It's Alright, Ma (I'm only bleeding)")

今回のなんなんでしょうは、
Irish Whisky Home Page
です。


長考の構え

(1)ここのところ

1ヶ月に1度くらいのペースで横浜へ出張で行っていたのですが、昼すぎに、会社を出て大阪から 新幹線で移動、午後6時すぎから打ち合わせ、8時半すぎの新幹線でとんぼ帰り、といった あいも変わらず強行日程で、便利になったというか、なんというか。そんなことくらい、 電話会議かTV会議でやったらええやん、という人も多いかと思いますが、やっぱり フェース・トゥ・フェースのコミュニケーションはとくにお客様相手の場合大事です。
そういえば、最近、韓国との間も航空便が増えたらしく、韓国くらいならば日帰りで行って来るのが 常識、という日も近いかもしれません。
帰りの新幹線は指定席をとっていても、終了時間の読みが外れることが多く、 たいていそのまま乗ることはできません。こんな勘の悪いマネージャーが仕切っているから、 開発もうまくいかないのか、少し切ない気もします。ともあれ、せっかちな私は、待つのが 嫌なので、来たのぞみに飛び乗り、自由席で帰ることがほとんどです。
数年前、しょっちゅう横浜へ行っていたときも、帰りに座ることができずに、 名古屋まで立って帰ったこともあるし、ひどかったのは米原まで立つはめになったことがありました。 新幹線につり革をつけてほしい、と笑っていたものですが、そんな状況でも、当然、ビールは欠かせません。
デッキですっくと立ち、缶ビールを傾けながら本を読む姿に惚れる人は、・・・いるわけないよなぁ。

(2)そんなわけで

新幹線の中は、課題を整理したり、解決策を練ったり、本を読んだりするチャンスでもあり、事実、 結構いいアイディアを思いついたりするのですが、 最近は、ぐっすり寝てしまうことが多く、なんだかせっかくの時間をとても無駄にしているような気がして、 後悔の念で一杯です。
ただ、最近の出張は、移動を単独ですることがほとんどなので、とても気楽です。
そういえば、10年以上前になるだろうか、そのころ、ほんとにペーペーだったわたしは、 当時のセンター長と研究所長、つまりは雲の上の偉い人と出張に出たことがありました。
移動時間のうちに、これまでの開発の経緯と今回の出張の目的を正しく理解してもらえるよう、必死に資料を 用意し、失礼のないように「社会人のマナー集」などを読みなおし、意気込んで臨んだところ、 二人はまったくその気なく、朝からビールを飲んでいい気分。
昼ごはんは駅の弁当を買うことになって、 現地の名物の味や高級食材を知り尽くしているエグゼクティヴだから、 きっと素晴らしい弁当をおごってくれるかもしれないと、期待に胸を膨らましていたら、 「あ、わし、これでええわ」とコンビニにぎりを2個つかみ、自分の分だけさっさと買って、 後はしらんふりで、とってもがっかり。おまけに、夜、ホテルのバーでメーターのあがった センター長(当時)は、 その場にいない私の直属の上司を「あんなヤツは事業部技術だ」などと、欠席裁判で大批判を展開。 しかも、同じフレーズの繰り返しが延々3時間。 つきあう俺の身になってくれよ、とかなり悲しい気分になったものです。
出張の行きも帰りも仕事の話で説教をくらうのも、つまらないものですが、 「そういう場で上司は仕事の話をしないものだ」という信念の上司と一緒になり 、酒も飲まずに延々と世間話につきあうのも大変です。そうかと思えば、 車で片道4時間、往復で8時間、 同行の営業の方に延々としゃべり続ける上司につきあうのもしんどいものです。
人との距離を上手にとれる上司であり部下であり同僚でありたい、と、 今、ここに改めて書いてみて願うのでありました。

(3)閑話休題

しばらく積読になっていた、ロバート・B・パーカーの"Bad Business" (Robert B Parker, Published: G. P. Putnam's Sons, 2004)を、7月15日から読み始め、10日ほどで 読み終えました。おととしから、年間で洋書を3冊以上読もうと決心し、おととしは、なんとか3冊読んだものの、去年は1冊と半分、今年は、これが1冊めです。
もっとも、今年にはいってから、「日本人は英語のここが聞き取れない」(著:松岡昇、発行:(株)アルク、2003年)とその続編もすませ(注1)、英語に対する意識が高まっているのがこれまでと違うところです。この後も、 この調子で頑張ろう。
簡単にあらすじをまとめておきました。これまでスペンサーのファンだった人は安心して楽しめる一冊ですが、始めて読む一冊としては、正直言って、あまりお勧めできません。 ハードボイルド小説ではなく、おじさんのトレンディー小説か、と思ってしまうかもしれませんから。
そういえば、しばらく、 私もスペンサーシリーズを読んでいなかったので、わからなくなってしまったのですが、 いったい今、彼の年齢はいくつという 設定なのでしょう。「グルマンで行こう・アムステルダム編」で書きましたが、1973年の1作目の「ゴッドウルフの行方」 のときスペンサーは37歳だったので、69歳になっているはず?だから活劇が少ないのか。
多分、どこかで年をとるのを止めたのかもしれません。それにしても、レクサスが登場したり、ヴィニーがiPodを使っていたり、事件のモデルはついこの間の エンロンの粉飾決算で、しっかりトレンドは押えていて、 サザエさん達が年をとらないわりに時代はしっかり変わっている のと、似たようなところもでてきたかもしれません。

(4)恋人の

スーザンが飲むのは白ワイン、スペンサーはビール、ホークはTPOに合わせてカッコよく決める、 という設定は相変わらずくっきりと書き分けられています(注2)。"Reisling"(p.26)、"pinot grigio"(p.56)、など、 注釈なしで名前がでてくるので、調べながら読むことになります。知っていることが ひとつのステータスなのかもしれない、と思いました。スペンサーは最近は、ベルギービールを 飲んでいるようです。これも向こうのトレンドなのでしょうか。
「スーザンの愛の証だ」とのろけているブルームーン・ベルジアン・ ホワイト・エールはネットでも探してみたのですが、今のところ見つかっていません。ステラ・アルトワは 有名なベルギーのピルスナーで、楽天で見つけたので注文しておきました。 夏休みに飲めると思うのですが、楽しみです。ついでに、もう近所で手に入らなくなった 愛するアンカー・リバティーエールも一緒に注文しておきました。誰か 私のためにリバティエールを冷やして待ってくれている素敵な人はいないでしょうか。
・・・いないよなぁ。絶対。
ところで、私のようなビールとともに生きている人間にとって、素晴らしい表現があったので 引用しておきましょう。

"Tell me about the love nest," she said.
I did.
Two beers later she said, "So you were able to black mail him"

時間の経過を表す、シャレた表現ですね。

(5)さて、

最後に、事件の解決に向かって行動を起す前、スペンサーは、一日、デスクの前で座って考えます。 足をデスクにあげ、コーヒーを飲み、窓の外を眺めながら、ということです。考えるポーズは 人によって様々ですが、スペンサーのオフィスにはスーザンの写真が飾ってあるようで、 時折、その写真に向かってしゃべりかけながら、というときもあるらしい。 オアツイことで、この辺の照れの無さはアメリカ流でしょうか。
私もついこの間、2日間悩みに悩みましたが、さすがに足をデスクにあげはしませんでしたが、 腕組みをして、目をつぶり不動の姿勢で、いや、決して寝ているわけではないし、前日に ビールを飲みすぎてしんどいわけでもありませんよ。
経営者は一年にどれだけの決断をしたかで、その人の仕事量がわかる、とどこかで読んだ気がしましたが、 経営者というにはちょっと遠い私ですが、最近、しみじみそう思います。
決断して実行に移し、そして2週間が過ぎました。思い切って開発体制を大きくチェンジしたのです。 結果はどうあれ、今は手ごたえを感じています。
先週末にプロジェクトのメンバー総勢で飲みに行きました。どれだけの人が私の悩みを 分かっているのか、いや、私の悩みなど分からないほうがいいのでしょう。私も 以前はわかりませんでした。孤独と中年を感じつつ、楽しそうに おしゃべりをしているメンバーを見ながら、なんとか成果に結び付けたいと、ぼんやり考えながら ブッシュミルズのオンザロックを傾けていました。
そのうち時代も変わるさ。
悩みは深いがビールはうまい。
ステラ・アルトワ、久しぶりのリバティ・エール、楽しみだなぁ。


土曜日の悩み深い会議のあと、悩み深いY所長が、車で守口市駅まで送ってくれました。
「所長、昨日、プロジェクトで飲みに行ったんですよ。」
「おう、聞いた聞いた。そんなん、誰が呼びかけるの?」
「私です。チームビルディングの一環です。3〜4ヶ月に1度くらいですけど、節目節目でやってます。 幹事は持ち回りで、私が指示してさせるんですけど、 参加率は抜群で毎回ほぼ全員参加ですよ。」
「へぇ、わしも見習おう」
まぁ、酒が嫌いな人もいるでしょうから飲み会は必須ではないとは思うのですが、 また、私は体育会系のノリは好きではないのですが、ただ、潤滑油にはなっているかな、と思います。

人と人の出会いが人を成長させる

と私は思っているので、いろんな面からそういうシカケを作っていこうと意識しています。
さて、あっという間に夏休みが来ます。ハムは一足先に夏休みですが、部活で毎日 学校へ行っています。友達と花火大会やプール、そしてクラブの合宿。うらやましいですね。


4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ
(c)Shimamura,T
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注1)はずかしいことに

中学校時代から英語の教科書あるいは問題集で最後までやりきったのは これが始めてです。

注2)実は、悪者の

トークショーのホスト、ダーリン・オマラはギネスをチェイサーがわりに、 ジェイムスンを飲み、スペンサーはギネスが嫌いでバドを飲みます。 ここは、私には、ちょっと承服しかねる設定です。
アイリッシュウイスキーは、スペンサーのオフィスの引き出しに非常用として 入っているはずなのになぁ。静かに考え事をするときに飲む酒のはずなのだけど。 意識しすぎて、あえて、そんな風にしたのかなぁ。
もし私が書いたなら、キールあたりをバンバン飲ませて酔っ払わせるのに。