パパーノなんなんでしょう

No.68
2005/ 9/4

In restless dreams I walked alone
Narrow streets of cobble stone
(Paul Simon, "The Sound Of Silence")

今回のなんなんでしょうは、
ビジネス書の杜
です。


集結プロセス

(1)夏休みあけて

すぐに、この話がきました。研究所で開発しているメンバーを全員、事業部にあつめ、 事業部技術と一体となって開発を進めよう、という話です。
「集結」という合言葉で熱く語られるこの手の話は、事業が苦しく開発が思うように進まない 場合によく発生します。「集結だ、集結だ」といいながら、のらりくらりとかわし、 一人だけ事業部に派遣する、そのうちにうやむやにし、しばらくたって気がついてみれば 研究所は研究所でこれまでのペースで好きにやってほとんど何も変わっていない、という程度で話をまとめることが多い のです。
「そんな短期的な考えに振り回されていたら、本来の開発が進まへんやん。」
「集結したって、向こうで何をするのか明確じゃないしね。」
「長期的な視野にたって脈々と開発を進めるほうが大事。」
「マネジメントがぶれてばかりじゃないですか。」
「体制論の問題じゃないと思う。」
「どこでやったって一緒やん。」
「どうせダメなもんはダメなんじゃねぇの?」
などなど意見はいろいろあると思います。
それはさておき、7月に思いっきり悩み、そして悩みを振り切った 私にとって、決断することに時間はかかりません。
「わかりました。全員、派遣にしましょう。私も向こうへ行って一緒にやります。」

(2)もっとも

いくらか配慮の必要なメンバーもいるので、ソフトを開発する役割のメンバーを 研究所に残すことにしました。幸い、そちらは今年度からプロジェクトを分けてマネージャが私と 別なので、理由づけは容易です。
体制とやるべきことを決め、所長や取締役と合意をとり、必要な手続きを済ませ、5人の精鋭とともに、 オンサイトで開発を進めることにしました。
もっとも、事業部といっても、研究所の隣の建屋なので、手続きは非常に簡単だったのですが、 もし北海道だったとしてもアメリカだったとしても、同じように決断したことでしょう。
目的があって、それに対してこうするべきだ、と決めたら、本来はやるべきことを着々とすればいいのであって 悩みはないはずです。予算や時間的な制限があって、問題があったとしても、 解決するためにするべきことをしていけばいいので、どうすれば一番よいのか考えて 検討することはあっても、悩むことはないのです。
なぜ、悩むのか、というと、私心とかプライドとか、モチベーション(そんなことはやりたくないという気持ち)、とか そういうことがあるからであって、そこを捨ててしまえば悩みのほとんどは消えてしまいます。
ということで9月1日から、ロッカーも事業部のほうに移し、部屋をひとつ空けてもらって、そこに 会議室用の長机を搬入し、電話も一本引っ張ってもらい、さらに、パソコンやワークステーション、 そして、歯磨きセットとマグカップとコーヒーなどを 研究所から持ち込んで、活動を開始しました。

(3)そんななか、

テニスの壁打ちを再開しました。去年の夏休み、落ち込んだ気分のまま赤山禅院を訪ね、その後、 北山のあたりで自転車を転がしていたときに見つけた壁打ちコートです(No.49 夏の終わりに)。去年は、これだ!と思い、 古いラケットをひっぱり出し、土日の朝に40分〜60分ほど壁打ちをしに行ったのですが、張り切りすぎて 体調を悪くし、喘息の状態が悪くなったので10月ごろには止めてしまいました。
このところ、パソコンに向かっている時間が長くなり(注1)、 居間の椅子に座ったまま動かないのは健康によくないことは明らかです。 夏休みの間に、食べすぎ、飲みすぎで少々太ったし、 喘息の調子も大分よくなったので、怠惰な気持ちにちょっとムチを入れて再開したのです。
相変わらず下手くそなものの、アタリマエ、中学のときに1年間か2年間かやってみて、一向に 上手くならなかったわけで、急に上手くなるわけがない。20年以上前の古いラケットでガットも張りっぱなしだけど、 気にしない、気にしない。

(4)最近、

好川哲人氏の主宰するプロジェクトマネジメントOS本舗から発行されるメルマガを読んでいると、ピンとくるトピックがありました。それは、モチベーション ベースで仕事をするのはかえって弊害も多い、ということです。
もちろん、モチベーションは大事なのですが、モチベーションはとかく浮き沈みが激しいし、 周囲の状況や自分の気分や邪心によって変化します。
新しいテニスラケットを買うぞ、と気分が盛り上がり、ボーナスを楽しみにしていたのに でも結局、いろんな事情で買うことができず、途端に、なんとなく古ぼけたラケットで テニスをするのが嫌になる。
いくらやってもなかなか上達せず、まわりを見渡してみて、 すごく速い球でバシバシとラリーを続けている人を見るとなんだかつまらない気がする。
そんなこんなで、なんだか、壁打ちテニスなんてやっていても意味がないような気がして、やめてしまう。
これがモチベーションをベースにするときの問題点です。
実は、目的を考え、それに対してやるべきことを意志の力で実行する、という姿勢を意識的にとるようにする ことが大事なのです。
なんで、壁打ちテニスを始めたのか?体を動かして、少しでも健康を維持しようというのが目的です。 ならば、古ぼけたラケットでも、ガットをずっと張り替えて無くても、ヘタクソでいっこうに上達しなくても まったく問題はないのです。楽しくすることも大事なので、新しいラケットを買うことも 大事なのですが、ムリすることはないのです。

(5)さて、

アメリカのハリケーンの被害は酷いことになっているようです。 ニューオリンズのあたりは、土地が海面よりもだいぶ低いらしく、堤防が決壊して 一気に水没したということです。もともと低かったのでしょうが、 asahi.com(05/9/3の記事) によれば 都市化に伴う巨大なビル群の重さ、地下水のくみ上げ、沖合での石油や天然ガスの採掘なども原因で、 地盤の沈下もしていたらしい。リスクアセスメントもされていたようですが、 具体的にリスクの軽減措置は十分にとられなかったようで、これも大きな課題です。
どうも、人間の性質として、目に見えない危機を十分に認識できない、という欠点があるようです。 目の前で事が起こった時にはもう遅い。気がついたときにはもう遅い。そんなことが多いのです。 石綿にしろ、原子炉の事故などもそういう側面があると思います。
ただし、これは生きていくのに必要な性質なのでしょう。起こりうる危機をすべて感じて考えて 行動するとなると、家から一歩も出れなくなります。いや家の中にいることでさえ、十分危険なので、 生きることそのものが困難になるかもしれません。今が大丈夫だから、明日もあさっても来年も大丈夫、と 単純に感じられるからこそ、生きていられるのです。
逆に、だからこそ、リスクマネジメントは意識的にする必要があります。リスクを抽出し、影響度と頻度を (半)定量的に評価して、優先順位をつけ、それぞれに対して行動計画を決め、決められないものについては、 意識してどうするか常に先回りして考える。
何かを決めるとき、必ずそういう思考回路が働くことが必要だ、と最近、仕事の中で痛感させられることが多いです。
そして、そのためにはモチベーションベースの仕事から意志力ベースの仕事へ変わらなければなりません。
ま、12月末まで、やったろうじゃんか。


もっとも、そんなことを考え考えテニスをしているわけでもなく、ボールを夢中で追っているときは、 何も考えず、全身筋肉のようになって汗をかいている、そんな時間も悪くありません。
さて、大命題。人がビールを飲むのはなぜなのか。美味しいから、他に理由はいりません。

車にガソリンが必要なように

人間にはビールが必要だ、とそれだけのことです。これから12月末までの俺たちの根城には冷蔵庫があったので、 さっそく連続通電の申請をしてもらいました。
みんなが帰った後の晩11時すぎ、それからラムを一瓶と〜。


4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ
(c)Shimamura,T
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注1)家族にも

顰蹙をかっています。
「そんなに体を動かしたいなら、家のこと少しは手伝ってよ。」
むむむ・・・もっともです。