パパーノなんなんでしょう

No.32
2004/ 2/22

Ain't got no place to stay
but any old place will be OK.
(Paul Simon, "Long, Long Day")

今回のなんなんでしょうは、
MVV(ミュンヘン運輸連合)
です。


番外編・ミュンヘン紀行その1

(1)今回のミュンヘンへの

出張で、大変印象的だったのは、先方の5人の技術者が それぞれ個性的だったことと、その個性をまとめて精力的に仕事をすすめる エレガントなマネージャーのW氏の個性でした。 最初、事前のメールのやりとりでは、5日間でも終わらなければ土日 を使ってもかまわないよ、と言われていたのですが、 行ってみると様子が違っていて、Agendaを見ると、3日間で終わらせるように いくつかのアイテムを並行して進めるように作られていました。 また、先方からのデモの内容は、すきが無いように、十分に準備がされていました。
それでも1日目は若干遅れ気味でした。 2日目の朝のミーティングでのことです。 進捗が思わしくないアイテムを担当している 機関銃トークのJさんが「なんとかかんとか、 いろいろあって(←ここが長い)手間どっているが、終わらせる ことができると思う」と答えると、「何時に終わるのか、 訊いているんだ」とにっこりと微笑みながら 静かに強い口調で訊いていました。 ふふん、私たちの会議と似たやりとりだけど、 こちらのほうがエレガントな感じがするのは、マネージャ の姿、物腰、そして考え方がエレガントなせいだね、 きっと。
時折、こちらが難しい要求をしたときには、ドイツ語で熱心に ディスカッションして短いけれど緊張感のある会議です。 Wさんが、にっこりと微笑み「ステップバイステップだね」 と言うと、強い気合と迫力を感じました。

(2)どうやらきっと

さらに上位のマネジメントから「必ず3日で終わらせろ」と強い圧力を うけていたに違いありません。確かに、あれだけのリソースを我々のために 5日間も割くのは難しいでしょう。前の週から準備に時間を割いていたのは 間違いないし。
「ただし、客には満足して帰ってもらえ。 したがって、すべての要望に対して、なんらかの形で結果を出せ。」
と同時に指示をされていたのでしょう。
先方の要望で、3日目の15時からW氏のボスとのミーティングがセットされました。 要するに、そこですべて終わらせて、4日目にはもう帰れ、ということですね。
がっしりとして堂々とした体格のボスは、声のトーンも強く低く、相手を簡単に萎縮させる ことができる厳しい顔つきで、技術的な内容を細かく質問します。各アイテムの内容 と進捗具合も細かく把握しているようだし、なんだか、われわれのボスとは一味 違った感じです。私たちが報告するとき、いつも言われるのは、 「上位のマネジメントは細かいことには興味ない。 技術的な細かい内容なんてわからないし、興味あるのは儲かるか儲からないかだ」ってね。
Wさんも緊張しているようで、ボスの機嫌を損ねないように、時折早口に言い訳をしています。 また、我々のつたない英語に、このときばかりは、大変不安そうな顔つきをして見ていました。

(3)ミュンヘン空港から

市内への移動はSバーン という近郊を結ぶ列車を使います。あらかじめ調べておいたとおりS1を使います。 ガイドブックにはS1とS8どちらでもよく、どちらも同じくらいの時間(40分くらい)でミュンヘン中央駅 へ行けると書いてあるのですが、S8は最近オストバーンホフまでしか行かないので不便だ 、と海外営業にいる旧知の先輩に事前に聞いていた(注1)ので、S1を 待ちました。Sバーンはグレーがかった朱色と白のドイツ国有鉄道の落ち着いた インテリジェントなデザインです。車両の内側と外側に行き先の表示がきちんとされているし、 駅のアナウンスはまったくないものの、駅名は大きくはっきり書いてあるし、 車内では駅名を告げるアナウンスがちゃんとあるから何の不安もありません。 各扉にはスイッチがついていて、乗降する人がスイッチを押して開けます。 LEDが光る軽いスイッチです。 閉めるのは自動で閉めてくれます。そこまでするなら、全部のドアを車掌か運転手が開けてくれれば いいのに、と思ったのですが、きっと、寒いからですね。必要最小限のドアしか開かない ようにしているというのが理由でしょう。

(4)中央駅で

地下鉄に乗りつぎます。Sバーンも中央駅から多分、東駅までは地下を走っているのですが、いわゆる地下鉄では ありません。Uバーンと呼ばれるのが、地下鉄です。 乗り換えも表示に従って冷静に動けば、東京の地下鉄に慣れている江戸っ子の私にはまったく問題ありません。 狭い階段をさらに降りるときは少々緊張しましたが、特に危ない人もまわりに見当たらないし、 そういった点の心配は無用でした。こちらは落ち着いた青と白で 少々ほこりっぽい古い車体ですが、乗り心地は悪くありません。車両の間にホロがついていなくて 走行中に隣の車両に移ることができないのが特徴です。 席が全部うまり、何人かが立つ程度のちょうど良い混み具合で、 東京や大阪の地下鉄やJRなどの 日本の鉄道と同じで入り口の上に大きな路線図が貼ってあるので、一駅一駅確認しながら、 間違いがないように気をつけました。ちなみに、こちらのドアはスイッチでなく、 ハンドルを引いて開ける完全手動です。

(5)駅に駅員さんは

いません。チケットはミュンヘンの中心から同心円状のゾーンが設定されていて、どのゾーンの 間を移動するかで値段が違います。空港から中心は4ゾーンなので8ユーロです。チケットは刻印機で 時刻を刻印することで有効になります。たまに、検札が乗り込んできて、刻印されているチケットを 持っていないと結構高額の罰金をとられると聞いています。空港からホテルへ移動する最初の日、 警察官のようなものものしい服装を着たSバーンの職員の二人組みが途中の駅で乗り込んできました。 ほほう、これが検札か、と思いきや。おしゃべりをしながら、時折車内をぶらぶらするだけです。 乗り換えたUバーンでも、やはり同じような服装のUバーンの職員が3、4人乗っていますが、じっと 立っているだけでした。
そして、結局、その後一回も職員を見ることはありませんでした。タダ乗りがかなり多い に違いない。

彼の国でも、仕事の仕方は、会社、人、によって様々ですね。


私の最もやりそうなことをしてしまいました。一度、間違ったUバーン路線に乗って 目的とは別の路線に入ってしまい、一駅で気がついたからよかったのですが。 一駅戻ってホームの向かいにUバーンが停まっていて、おお、あれが乗るはずだったU2だ、 と飛び乗ったら、目的の方向と逆でした。

日本と違って電車も右側通行

なのです。今回はなんだか、ジェットラグのせいか、内容がちょっと面白みに欠けたかも。
また、近々に更新をします。次はビールの話だ!
あくまで予定ですが。


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注1)今から思えば

その先輩は私が行くことを聞きつけて、わざわざ研究所のほうへ顔を出してくれたのかも知れません。 用事のついでのようなふりをして。普段、まったく見かけない人だからなぁ。
そういえば、行きのフランクフルト空港でのことです。関空からの便を降りたところで、日本人のガイドが 立っていて、乗り継ぎ便のゲートの確認をしてくれました。「大丈夫、搭乗ゲートは予定どおりで 変更ありません。」と言ってくれました。
時間がかなりあったので、ターミナルの移動が終わった後、コーヒーショップでサンドイッチとコーヒー を食べたり、本屋をのぞいたりして時間を過ごしたのですが、アナウンスがはいって、どうやら、 搭乗ゲートが予定のA16からA18に変更になった、と言っています。
その先輩が、「フランクフルトでは、 よく搭乗ゲートが変更になるから気をつけたほうがいいよ」と言ってくれていて、 注意していたから気がついたのですが、何しろ、ドイツ語とドイツなまりの英語のアナウンスのみ ですから、ほんとよかった。
持つべきものは 優しい先輩です。