絶対に海外出張はない、というより、あるかどうかも考えてなかったのですが、
あれよあれよ、という間に決まってしまい、20日に寒い寒いA国へ行って、
泣く子も黙る怖〜いB社へプレゼンをしにいくはめになりました。
前回のこのコラムの最後に書いたように、
ただでさえ、事業計画策定の折で忙しかった上に、13、14日と仙台へ行く必要があり、
その間に日程が決まったので、空港で、ホテルで、
大学の食堂で、PHSでインターネットにつなぎ、メールの欧州、違った、応酬を
して、15,16,17日は会議やら、提出書類等の作成やらで追われ、
そのため、プレゼン資料の作成も遅れに遅れ、土曜日一杯かかってもまだ未完成状態で、
飛行機の中や空港のロビーで、必死に修正をしている、そんなていたらくでした。
もっと、十分に作りこんだプレゼン資料にしなければならない、とは思うのですが、
最近はずっと、こんな感じでヤッつけ仕事が習慣になってしまっているので、なんとか来年こそは、
詳細なリスク分析と状況分析をもとに、優先順位をきちんとつけて、
やるべきことにかけるべき時間をかけてする、
それでクールに早く帰る、そんな人に私はなりたい。
言いだしっぺの隣の研究所の所長
は、もっと大変で、13日の週にヨーロッパを出張でまわり、金曜日の朝に関西空港に戻り、
即、会社へ直行、午後は会議、金曜の夕方からと土曜日に私のプレゼン資料のチェック、
日曜日の19日に私とともに再度、A国へ旅立ったわけです。
地に降りたのは初めてです。9時でもなお暗く、昼の12時でも太陽高度が低くて
夕方のような雰囲気です。目的地はホテルのある市内から
大型のバスで片道1.5時間、行けども
行けども、雪の降り積もった白樺や針葉樹の森と、雪で覆われた荒野が続きます。
メキシコ湾流がこのへんまで影響しているということで、思ったほど寒くはなく、
0℃を少し割るくらいの気温です。
なんで、こんな北の僻地に携帯電話の大会社ができるのでしょう。白い荒野の中の
小さな町のはずれに、ガラスばりで
ピカピカの近代的な建物が並ぶ、そこが年間で何億台もの携帯を作るB社の
開発拠点のひとつです。
吹き抜けの広いエントランスホールのすぐ横にあるきれいな部屋で
ミーティングが始まりました。部屋にはプロジェクタが備え付けられており、
テーブルの真ん中のVGAケーブルをつなげば、すぐにプレゼンができるように
なっています。
お客さんに英語でプレゼンするのは初めてです(注1)。しかも、相手は怖いB社です。
まだ技術者相手だったからよかったのかもしれません。先方の英語は
聞き取りにくかったのですが、今回は営業の方が一緒だったので、
必要に応じて通訳もしてもらい、なんとか、納得してくれたようです。
緊張から解放されたせいか、冷たい空気のせいか、ミーティングの後、
心臓や肺が収縮するような妙な感じに襲われました。
プレゼンが終わり、午後のバスで市内へ戻り、
夕食のあと、ホテルのバーで一杯やり(注2)、一度部屋へ戻ってから、
外へもう一度出てみました。街はクリスマスのイルミネーションが綺麗で賑やかです。
携帯のカメラなのでイマイチですが、雰囲気はよくわかるでしょう?
私は、実はトナカイ料理を楽しみにしていたのですが、同行した所長や事業部の方の猛反対に
あい、あえなく、昼は中華、夜は日本食、ということになりました。美味しかったんですけど、
やっぱり珍しいものを食べたかったなぁ。
「まぁ、これから、何べんも来ることになるんだから、そのときにしなさい。でも、
言っとくけどマズいよ。お勧めできない。」
いや、何べんも来たくありませんね。だって、怖いらしいです。あの会社は。
食べることはできなかったものの、空港で売っていたトナカイの剥製を写真にとっておきました。
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買って帰る人もいるそうです。 | 朝8時でも真っ暗な凍てついた飛行場 |
携帯の呼び出しメロディは、まだ単音で、音もまだまだ機械的なものが多いようです。
あちこちでピロピロピーと鳴っています。
こういうところは日本がやたら進んでいて、着歌まで進化してしまいましたし、
新しい機能の実装、進化も日本が最も早いようです。日本は携帯のガラパゴス諸島だ、
といわれているそうです。世界で6〜7割ものシェアを持つGSM方式は日本では
使用されておらず、独自の規格のPDC(NTTのムーバが代表)が、世界の孤島を
作ったのです。この中で数社がひしめきあって、しかも、日本人の厳しい感性に
訴求しながら競争をしているので、世界標準とはまったく異なった独自の進化をとげた
わけなのです。
さて、新しくデビューしたFOMAは世界で使える規格です(注3)。ということは、
携帯の世界で日本が地続きになったと言えます。まるで、DOSV-PCが日本に入ってきた
時のように、日本企業は世界と戦わなければならなくなるのです。
しかし、私はこれは日本のチャンスではないか、と思います。
海外では、日本ほど、小さく薄いものを求めないので、さらに高機能なものを
詰め込んで、情報/エンターテイメント端末として、
世界中に売り込むことができるのではないでしょうか。GSMを実装するなんて、
きっと簡単ですよ。後は、製造の仕組みづくりだけです。年間1億台も作るとするならば、
不良品を1%出してしまうと、年間100万台もの電話を捨てることになるのですから。
世界でNo1にならないといけない、ことは別段ないですけどね。
まだ真っ暗な飛行場から3時間ほどで、もう、すっかりおなじみになったミュンヘン
へ移動です。雪が積もっていて、しかも、抜けるような青空、という絶好の
天気で気分は満点です。
これまで、携帯を海外出張で持っていって何が便利、って目覚まし時計として
使える点でした。もっと使いこんでいる人はメモ帳や、スケジュール帳としても、
便利に使っていることでしょう。充電は
USBケーブルでPCからすれば便利なことは
以前に書いたとおりです。(No.53 グルマンで行こう・ミュンヘン編)
時計を現地時刻に合わせるときに気がついたのですが、自動時刻補正機能がついているん
ですね。日本に帰って、この機能をONに設定すると、正しい時刻がちゃんと
自動的に設定されるのです。
国際ローミングが実現すると、どこに行っても自動的に現地時間に合わせてくれる
でしょうから、より一層、便利になりそうですね。
そして、今回は、私の新しい携帯がカメラとして大活躍しました。
え?仕事ですよ、仕事。出張ですから。街がクリスマス
一食、違った、一色だったので、写真を一杯とってしまいましたが、別に
観光に行ったわけではありませんよ。くどいようですけど、何べんでも強調しておかないと、
しまいに、とんでもない誤解をされてしまいそうです。
私がどんなにツラクしんどい思いをして海外に出張に出て、どんなに厳しい仕事をしなければ
ならないのか、この点は機密で書けませんからね、トータルで60枚も携帯で写真を
とったとはいえ、断じて遊びに行ったわけではありませんよ。断じて。
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マリエン広場の新市庁舎 | モミの木にイルミネーション |
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広場には屋台がたくさん出ていて、 クリスマスでにぎわっていました |
21日は青空がきれいでした |
それにしても、私もいつもと同じく適量のアルコールをとっていましたが、研究所長もよく飲みます。
まぁ、激務の私達はいつ死んでもおかしくない身です(注4)から、このくらいは
大目に見ないと。この所長と、もう一人同行した事業部の方は、海外出張は何べんも出ているのですが、
ほとんど日本食か中華で過ごすそうです。なんだかなぁ。
でも、食べたかったなぁ、トナカイ。
クリスマスに食べるもんじゃない
かもしれないけれど。
さて、ワイヤレス編はクリスマスのミュンヘンの話です。
4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ (c)Shimamura,T |
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hardy@max.hi-ho.ne.jp |
注1)帰ってから
こんな本を買いました。
「プレゼンテーションの英語表現」(日経文庫1039、デイビッド・セイン、マーク・スプーン著、
日本経済新聞社、2004年)
私のニーズを見透かしたかのように、この12月17日に発行されていたようです。行く前に
買いたかったなぁ。お勧めです。
注2)現地のビールは
ラピン・クルタというピルスナーでした。なかなか美味しかったですよ。 外にも、私の好きなチェコのピルスナー・ウルケルや、ベルギー のシメイ・ビールなど、いろいろあったのですが、一本で900円前後もするような高い値段が ついていたのでした。ラピン・クルタはアルコール度数の高いものと低いものがあるようですが、 5%のWを主に飲みました。
注3)国際ローミングといえば
AUが、だいぶ前から、韓国とアメリカでも通じる携帯を出しています。
そして、第三世代携帯は、AUのほうが
先に走っています。そのうちに、FOMA、AUともに、世界中でローミングできる
携帯を発売することになるでしょう。
注4)激務は本当
です。おかげで、なかなかホームページの更新やリニューアルができない状態です。いつ死んでも おかしくないのは、誰でも本当です。