パパーノなんなんでしょう

No.56
2004/12/28

Please see if she's wearing a coat so warm,
To keep her from the howlin' winds.
(Bob Dylan, "Girl of the North Country")

今回のなんなんでしょうは、
Santa Claus Village
です。


モバイル・アンド・ワイヤレス(モバイル編)

ワイヤレス編はこちら

(1)少なくとも今年中は

絶対に海外出張はない、というより、あるかどうかも考えてなかったのですが、 あれよあれよ、という間に決まってしまい、20日に寒い寒いA国へ行って、 泣く子も黙る怖〜いB社へプレゼンをしにいくはめになりました。
前回のこのコラムの最後に書いたように、 ただでさえ、事業計画策定の折で忙しかった上に、13、14日と仙台へ行く必要があり、 その間に日程が決まったので、空港で、ホテルで、 大学の食堂で、PHSでインターネットにつなぎ、メールの欧州、違った、応酬を して、15,16,17日は会議やら、提出書類等の作成やらで追われ、 そのため、プレゼン資料の作成も遅れに遅れ、土曜日一杯かかってもまだ未完成状態で、 飛行機の中や空港のロビーで、必死に修正をしている、そんなていたらくでした。
もっと、十分に作りこんだプレゼン資料にしなければならない、とは思うのですが、 最近はずっと、こんな感じでヤッつけ仕事が習慣になってしまっているので、なんとか来年こそは、 詳細なリスク分析と状況分析をもとに、優先順位をきちんとつけて、 やるべきことにかけるべき時間をかけてする、 それでクールに早く帰る、そんな人に私はなりたい。
言いだしっぺの隣の研究所の所長 は、もっと大変で、13日の週にヨーロッパを出張でまわり、金曜日の朝に関西空港に戻り、 即、会社へ直行、午後は会議、金曜の夕方からと土曜日に私のプレゼン資料のチェック、 日曜日の19日に私とともに再度、A国へ旅立ったわけです。

(2)そんなに緯度の高い

地に降りたのは初めてです。9時でもなお暗く、昼の12時でも太陽高度が低くて 夕方のような雰囲気です。目的地はホテルのある市内から 大型のバスで片道1.5時間、行けども 行けども、雪の降り積もった白樺や針葉樹の森と、雪で覆われた荒野が続きます。 メキシコ湾流がこのへんまで影響しているということで、思ったほど寒くはなく、 0℃を少し割るくらいの気温です。
なんで、こんな北の僻地に携帯電話の大会社ができるのでしょう。白い荒野の中の 小さな町のはずれに、ガラスばりで ピカピカの近代的な建物が並ぶ、そこが年間で何億台もの携帯を作るB社の 開発拠点のひとつです。
吹き抜けの広いエントランスホールのすぐ横にあるきれいな部屋で ミーティングが始まりました。部屋にはプロジェクタが備え付けられており、 テーブルの真ん中のVGAケーブルをつなげば、すぐにプレゼンができるように なっています。
お客さんに英語でプレゼンするのは初めてです(注1)。しかも、相手は怖いB社です。 まだ技術者相手だったからよかったのかもしれません。先方の英語は 聞き取りにくかったのですが、今回は営業の方が一緒だったので、 必要に応じて通訳もしてもらい、なんとか、納得してくれたようです。
緊張から解放されたせいか、冷たい空気のせいか、ミーティングの後、 心臓や肺が収縮するような妙な感じに襲われました。

(3)とりあえずは、無事に

プレゼンが終わり、午後のバスで市内へ戻り、 夕食のあと、ホテルのバーで一杯やり(注2)、一度部屋へ戻ってから、 外へもう一度出てみました。街はクリスマスのイルミネーションが綺麗で賑やかです。 携帯のカメラなのでイマイチですが、雰囲気はよくわかるでしょう? 私は、実はトナカイ料理を楽しみにしていたのですが、同行した所長や事業部の方の猛反対に あい、あえなく、昼は中華、夜は日本食、ということになりました。美味しかったんですけど、 やっぱり珍しいものを食べたかったなぁ。
「まぁ、これから、何べんも来ることになるんだから、そのときにしなさい。でも、 言っとくけどマズいよ。お勧めできない。」
いや、何べんも来たくありませんね。だって、怖いらしいです。あの会社は。
食べることはできなかったものの、空港で売っていたトナカイの剥製を写真にとっておきました。

買って帰る人もいるそうです。 朝8時でも真っ暗な凍てついた飛行場

(4)ヨーロッパでは

携帯の呼び出しメロディは、まだ単音で、音もまだまだ機械的なものが多いようです。 あちこちでピロピロピーと鳴っています。
こういうところは日本がやたら進んでいて、着歌まで進化してしまいましたし、 新しい機能の実装、進化も日本が最も早いようです。日本は携帯のガラパゴス諸島だ、 といわれているそうです。世界で6〜7割ものシェアを持つGSM方式は日本では 使用されておらず、独自の規格のPDC(NTTのムーバが代表)が、世界の孤島を 作ったのです。この中で数社がひしめきあって、しかも、日本人の厳しい感性に 訴求しながら競争をしているので、世界標準とはまったく異なった独自の進化をとげた わけなのです。
さて、新しくデビューしたFOMAは世界で使える規格です(注3)。ということは、 携帯の世界で日本が地続きになったと言えます。まるで、DOSV-PCが日本に入ってきた 時のように、日本企業は世界と戦わなければならなくなるのです。
しかし、私はこれは日本のチャンスではないか、と思います。 海外では、日本ほど、小さく薄いものを求めないので、さらに高機能なものを 詰め込んで、情報/エンターテイメント端末として、 世界中に売り込むことができるのではないでしょうか。GSMを実装するなんて、 きっと簡単ですよ。後は、製造の仕組みづくりだけです。年間1億台も作るとするならば、 不良品を1%出してしまうと、年間100万台もの電話を捨てることになるのですから。
世界でNo1にならないといけない、ことは別段ないですけどね。

(5)翌日21日には

まだ真っ暗な飛行場から3時間ほどで、もう、すっかりおなじみになったミュンヘン へ移動です。雪が積もっていて、しかも、抜けるような青空、という絶好の 天気で気分は満点です。
これまで、携帯を海外出張で持っていって何が便利、って目覚まし時計として 使える点でした。もっと使いこんでいる人はメモ帳や、スケジュール帳としても、 便利に使っていることでしょう。充電は USBケーブルでPCからすれば便利なことは 以前に書いたとおりです。(No.53 グルマンで行こう・ミュンヘン編)
時計を現地時刻に合わせるときに気がついたのですが、自動時刻補正機能がついているん ですね。日本に帰って、この機能をONに設定すると、正しい時刻がちゃんと 自動的に設定されるのです。
国際ローミングが実現すると、どこに行っても自動的に現地時間に合わせてくれる でしょうから、より一層、便利になりそうですね。
そして、今回は、私の新しい携帯がカメラとして大活躍しました。
え?仕事ですよ、仕事。出張ですから。街がクリスマス 一食、違った、一色だったので、写真を一杯とってしまいましたが、別に 観光に行ったわけではありませんよ。くどいようですけど、何べんでも強調しておかないと、 しまいに、とんでもない誤解をされてしまいそうです。
私がどんなにツラクしんどい思いをして海外に出張に出て、どんなに厳しい仕事をしなければ ならないのか、この点は機密で書けませんからね、トータルで60枚も携帯で写真を とったとはいえ、断じて遊びに行ったわけではありませんよ。断じて。

マリエン広場の新市庁舎 モミの木にイルミネーション
広場には屋台がたくさん出ていて、
クリスマスでにぎわっていました
21日は青空がきれいでした

それにしても、私もいつもと同じく適量のアルコールをとっていましたが、研究所長もよく飲みます。 まぁ、激務の私達はいつ死んでもおかしくない身です(注4)から、このくらいは 大目に見ないと。この所長と、もう一人同行した事業部の方は、海外出張は何べんも出ているのですが、 ほとんど日本食か中華で過ごすそうです。なんだかなぁ。
でも、食べたかったなぁ、トナカイ。

クリスマスに食べるもんじゃない

かもしれないけれど。
さて、ワイヤレス編はクリスマスのミュンヘンの話です。


4コママンガ<ハムとラン> とキャラのページ
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注1)帰ってから

こんな本を買いました。
「プレゼンテーションの英語表現」(日経文庫1039、デイビッド・セイン、マーク・スプーン著、 日本経済新聞社、2004年)
私のニーズを見透かしたかのように、この12月17日に発行されていたようです。行く前に 買いたかったなぁ。お勧めです。

注2)現地のビールは

ラピン・クルタというピルスナーでした。なかなか美味しかったですよ。 外にも、私の好きなチェコのピルスナー・ウルケルや、ベルギー のシメイ・ビールなど、いろいろあったのですが、一本で900円前後もするような高い値段が ついていたのでした。ラピン・クルタはアルコール度数の高いものと低いものがあるようですが、 5%のWを主に飲みました。

注3)国際ローミングといえば

AUが、だいぶ前から、韓国とアメリカでも通じる携帯を出しています。 そして、第三世代携帯は、AUのほうが 先に走っています。そのうちに、FOMA、AUともに、世界中でローミングできる 携帯を発売することになるでしょう。

注4)激務は本当

です。おかげで、なかなかホームページの更新やリニューアルができない状態です。いつ死んでも おかしくないのは、誰でも本当です。